才色健美な挑戦者たちBACK NUMBER
スピードスケート・岡崎朋美に学ぶ、
競技も人生も楽しく健康に過ごす秘訣。
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph byYuki Suenaga
posted2018/10/02 13:00
橋本聖子さんの実家で驚いた風景。
もうひとつ変わるきっかけとなったのは橋本聖子さん。競技面では、あれだけ強い人なのに、食事もケアも自分の身体にいいことには、貪欲に取り組んでいました。今でこそトレーナーを帯同するのは当たり前ですけど、昔はいないのが普通だったんです。聖子さんは短距離から長距離までオールラウンダーでしたから、身体もすごく酷使していたので、自分でトレーナーを呼んで、すべて自己負担でケアをしていましたね。
私生活では、一度聖子さんのご実家に行かせていただいたことがあったんです。そうしたら、ご両親に、三つ指をついて「ただいま帰りました」って言うんです。私も慌てて三つ指をつきましたけど、多分形になっていなかったと思います(笑)。そういう親子の会話が私には考えられないような風景でしたから、ちょっと感動しちゃって。古風な面と、何にでも挑んでいく面、その2つがあるのが聖子さんの強さの秘訣なのかなと、色々勉強になりました。
年をとるのは自然だけど、老いたくはない。
引退をした今も身体を鍛えるのは好きですね。今、娘が陸上をやっているので、そのうち親子マラソンに出たり、ちょっと走りたいなと思っています。去年、娘の運動会にも出る予定だったのですが、雨で中止になってしまって。今年は出れると思っているので、そのための準備をするつもりです。今は身体が重いので、身軽になっておかないと疲れちゃうんですよね。
汗をかくのは大好きですし、子育ての息抜きにもなっていますが、老いをいかに食い止めるかということもテーマですね(笑)。最近、またジムにも通い始めたのですが、競技生活が長かったので、やっぱりガタがきているところが何カ所かあるんですよ。筋肉が衰えてきているのもあって、骨にも負担がかかっているそうです。今はまだ我慢できる範囲ですが、このままもうちょっと年を重ねたら、痛みが出たり、我慢できなくなるときがくると思うんです。ただ、自分でトレーニングするとどうしてもスケート向きになってしまうので、今はパーソナルトレーナーの方に見てもらいながら鍛えています。専門の方たちの意見を聞きながら、少しでも老化を抑えたいなと思っています。
運動以外には、サプリをとったり、代謝を維持できるように気をつけたり……。年をとっていくのは自然なことですが、老いたくはないんですよね。だから今から少しずつ対策をしていって、おばあちゃんになっても鍛え続けていられたらいいなって。目指すはピチピチのおばあちゃんです(笑)。
岡崎 朋美Tomomi Okazaki
1971年9月7日、北海道生まれ。小学3年の時にスケートを始め、高校卒業後、名門・富士急行へ。先輩・橋本聖子と共に練習を重ね、才能を開花。冬季五輪には1994年リレハンメルから2010年バンクーバーまで5大会連続出場。1998年長野大会女子500mで、日本女子短距離初となるメダルを獲得。2007年に結婚、2010年に出産を経験。2013年末に現役を引退。現在はスピードスケート普及活動の他、幅広く活動中。
毎回1名のゲストの「生き方」「人間性」にフォーカスし、そこにある「美しさ」をあぶり出すBS朝日の番組。ビジュアルだけではなく、精神的、健康的など様々な角度から“肉体に宿る美”を探ります。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。
MC:浅尾美和
第23回:岡崎朋美(スピードスケート)
10月5日(金) 22:00~22:24
元スピードスケート選手の岡崎朋美さんは1994年のリレハンメル大会から5大会連続で冬季五輪に出場。1998年長野大会では銅メダルを獲得しました。印象的な“朋美スマイル”で全国区で人気者になり、見ている人に元気をくれた彼女の今を支える原動力とは? そして自身が思い描くこれからとは?
第24回:山田恵里(ソフトボール)
10月12日(金) 22:00~22:24
卓越したバッティング技術から、“ソフトボール界のイチロー”とも呼ばれる山田恵里選手。2008年北京五輪では宿敵アメリカを下し、日本を初の金メダルに導きました。あれから10年。当時の仲間が次々と現役を退く中、34歳になった今でも彼女が先頭を走り続ける理由に迫ります。