プロ野球PRESSBACK NUMBER
3年ぶり白星の郭と途中加入の小川。
土壇場で西武に力を与えた2人の男。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2018/09/21 10:30
ソフトバンクとの大一番で今季初勝利を挙げた郭。この経験は大きな財産となるだろう。
「ライオンズで郭といえばタイゲン先輩」
「今まで結果が出なかったので、何かを変えたいという思いで本来の読み方に変えました。ライオンズで郭といえば郭泰源(カク・タイゲン)先輩があまりにも有名で、どうしてもファンのかたにはタイゲンさんとリンクして見られてしまう。タイゲン先輩とは違う、より自分らしいピッチングをアピールしたいという思いもありました」
チームにとって大一番となる試合での、先発登板にも動じなかった。キャッチャー・森友哉のミットめがけて思い切り腕を振った。
「こんな大事な試合を任せてくれた、自分を信じてくれた首脳陣に感謝したいです。『絶対に負けない』『自分のいちばんいいピッチングをしてチームに貢献したい』と思ってマウンドに向かいました。
3年ぶりの勝利ではありますが、試合が終わるまで自分の勝利については全く頭にありませんでした。まず先発投手としての役割を果たそう、試合を作ろうと思っていただけ。前回(8月26日)の登板も同じです。野手にたくさん点をとってもらった。野手に感謝の気持ちでいっぱいです」
前半戦、先発ローテーションを守った十亀剣が調子を落とし、先発投手の駒不足に頭を痛めていたライオンズにとって、郭の3年ぶりの白星は大きな1勝となった。
「本当にこの3年間、つらかった。でも、とにかくプロ野球選手として頑張らなければという強い思いでここまで来ました」
苦労人が相手のエースに投げ勝つことで、チームは勢いに乗った。
もう1人ヒーローを挙げるとしたら。
もう1人、投のヒーローを挙げるとしたら、ホークスとの3連戦すべてで中継ぎ投手として登板した小川龍也だろう。第3戦では、先発のウルフが負傷交代というアクシデントに見舞われた後、武隈祥太、増田達至とつないだ後の4番手でマウンドに上がった。2回3分の1イニングスをぴしゃりと抑え、チームに勝利を引き寄せた。
交代を告げられ、マウンドからベンチへと戻る小川をスタンドのファンはスタンディングオベーションで出迎えた。
「あれは鳥肌が立ちました。うれしかったですね」
感慨深い表情で振り返った。