炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープ中崎翔太は無事是名馬である。
控え目な守護神の驚異的な安定感。
posted2018/09/15 09:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
Kyodo News
シーズン途中から彗星のごとく現れたヘロニモ・フランスアにも、その座を譲ることはなかった。3連覇を目前とする今年の広島守護神は、中崎翔太であり続けた。
「無事是名馬」
競走馬を指して「能力が抜群に秀でていなくとも、怪我なく無事に走り続ける馬は名馬である」とする考え方を表した格言だ。競馬好きの中崎にピッタリな、中崎を表現する言葉としてしっくりくる。
首脳陣にとって、これほど頼もしい選手はいないだろう。
今季も当たり前のように投げ続けた。昨年まで2年連続60試合登板を記録し、ともに勝利の方程式を担った今村猛、ジェイ・ジャクソンは蓄積疲労からくる不調に悩まされ、二軍降格を味わった。
事実上の4年連続60試合以上登板。
開幕からなかなか終盤の継投の形が決まらない中、最後の門番である中崎は1人、屋台骨を支えていた。ここまでチーム最多の59試合に登板(※数字は9月14日時点)。2年ぶりの60試合登板は時間の問題だろう。ただ、連続60試合登板は、実質4年連続の記録といってもいい。
昨年の公式記録には「登板数/59試合」と残る。ただ、これはペナントレースでの登板数のみ。クライマックス・シリーズのファイナルステージで3試合に登板しており、計62試合に投げたことになる。
4年連続60試合登板となれば、日本人投手としては巨人・山口鉄也の9年連続に続く数字だ。
登板数だけでなく、8月8日に史上30人目の100セーブを達成し、自身2度目のシーズン30セーブもクリア間近。シーズン無敗のまま、初のセーブ王のタイトル獲得へ邁進している。