松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹の「勝負師の顔」が出た!
プレーオフを勝ち上がり自信復活。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2018/09/04 17:30
プレーオフ最終戦の可能性が見えてきた松山英樹。プレーオフでの優勝は4大メジャーに勝るとも劣らない名誉だ。
自信と勝利への渇望もまた松山らしい。
感謝の心、謙虚な姿勢、人間としての成長が得られることは、ゴルファーとしての器を大きくしてくれる。
だが、久しぶりに優勝争いに絡んだ緊迫感やスリリングな空気が松山の獰猛な勝負師魂を熱く蘇らせたことも間違いない。
好調な日々に自信と勝利への渇望に溢れていた松山らしい顔が、この日、ようやく戻ってきたことは、やっぱりうれしく感じられた。
好調時の感触は戻りきっていなくても。
ホールアウト時点では「トップ10で終われるかどうか」と言っていたが、終わってみれば、松山は4位タイに食い込んでいた。米ツアーのフェデックスカップランクは58位から28位へ上昇。プレーオフ第3戦への進出を確定させ、「最終戦に出られる可能性も出てきた。頑張りたい」。
そんなふうに今大会4日間で松山が得たものは多々あった。
探し求めているショット、パットの好感触は、まだ戻ってきてはいないと松山は言う。だが、3日目も最終日も「感触は悪い」と感じながら次々にスコアを伸ばすことができた。その実体験から松山が感じ取るもの、学び取るものは大きいはずで、そこから導き出されるもの、導き出すものが、これからの彼の糧になっていく。
好調だったころと同じ感触、同じレベルの感触は戻り切っておらずとも、今年1月以来のトップ10入りという上位フィニッシュの栄誉と快感、そしてプロゴルファーが追求すべき高額賞金という実利は、ようやく松山の元へ戻ってきた。
そして、語気を強めながら悔しさを短い言葉に込める松山らしい勝負師の顔も戻り、戻ってきたもの、彼が取り戻したものの1つ1つから、少しずつ自信も得られているはずだ。
学んだもの、得たもの、取り戻したものがたくさんあった今大会は「勝負師、松山英樹」のナイスカムバックが見て取れた、暑くて熱い4日間だった。