松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹の「勝負師の顔」が出た!
プレーオフを勝ち上がり自信復活。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2018/09/04 17:30
プレーオフ最終戦の可能性が見えてきた松山英樹。プレーオフでの優勝は4大メジャーに勝るとも劣らない名誉だ。
「滅多に入らない距離が入ってくれた」
そして3日目は出だしの5ホールで5つスコアを伸ばして好発進。実を言えば、そのとき松山自身は「感触は悪かった」そうなのだが、それでも「うまくスコアを伸ばせて、とんとんと行った」ことは、感触をとことん追求してきた松山に何かしらを感じさせたに違いない。
ラウンド半ば以降は小技のミスが目立ち、さらに3バーディーを奪った一方で4ボギーも喫した。それでも「滅多に入らないような距離が入ってくれた」と15メートル、20メートルがガツンとカップに沈んだミラクルパットを振り返り、「かなり救われてます」と運にも感謝した。
4つ伸ばして67で回り、25位へ上昇。「もう1つ2つ伸ばしたかった?」と尋ねると、松山は「今の自分だったら、これぐらいが精一杯です」と謙虚に答えた。
ここ半年出ていなかった勝負師の顔が!
初日は苛立ちを見せ、2日目は少し笑顔をまじえ、3日目は穏やかな表情で運に感謝し、謙虚な姿勢も見せた松山。
だが、たとえ瞬間的であれ「優勝」の二文字に迫った最終日のラウンド後、松山の表情は一変していた。
最終日も前日同様、好発進。3番から5連続バーディーで一気にスコアを伸ばし、9番、10番の連続バーディーを奪った時点で、ついに「MATSUYAMA」の名はリーダーボードの最上段に浮上した。
しかし、11番と12番でどちらも3パットのボギーを喫し、そこから先はスコアを伸ばす代わりにパーを拾う展開へ。それでも72ホール目の18番(パー5)は見事にバーディーで締め括ったが、ホールアウトした松山の表情は険しかった。
「4日間ともバック9でうまくプレーできなかった。11番以降、いいパッティングが打てなかったのは、すごく悔しい。ボギーを打って残念じゃないラウンドはない!」
それは、不調に喘いできたここ半年以上の間、ほとんど見せたことがなかった熱い勝負師の顔だった。