ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
悪性リンパ腫と闘う垣原賢人へ、
鈴木みのるからの厳しすぎるエール。
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byYukio Hiraku
posted2018/08/17 11:00
鈴木みのるのチョークスリーパーに苦しむ垣原賢人。ただリングに上がっているだけでも凄いことなのだ。
垣原の掌底と蹴りに鋭さが戻った。
この日の垣原のコンディションは素晴らしいものがあった。一時期、あれだけやせ細っていた身体には、しっかりと筋肉の鎧が身につけられ、掌底や蹴りの鋭さも、現役時代に劣らぬものだった。
がん患者がここまでの闘うコンディションを作り上げるには、並大抵の努力ではなかっただろう。
ただし、悪性リンパ腫は完治が難しいことで知られる難病。いまは快方に向かっているが、いつまた病魔が襲ってくるかわからず、その闘いはこれからも続く。
それだけに「リング復帰だけで満足するな。俺を本気にさせるところまで上がってこい」、鈴木のそんな思いがこめられた、手荒いエールに感じられた。
いつも以上に鋭かった眼光。そして厳しすぎる攻撃は、垣原に対する敬意の表れであった気がしてならない。
最後に「ノー・フィアー!」
そして垣原自身、この一戦で覚悟と決意を新たにした。
ボロボロにされながらも、最後はマイクを握り、こう叫んだのだ。
「情けない姿を見せてしまいましたけど、鈴木みのるに勝つまで諦めません! だから! 高山も、このトップロープをまたぐことを諦めるな! みなさん応援してください! 行くぞー、ノー・フィアー!」
垣原も、鈴木も、そして高山善廣も、未来に向かって闘っている真っ最中だ。その先に何が待っているのか。
恐れるなかれ。
いつだって合言葉は「ノー・フィアー!」だ。