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15年前の松井秀喜と似ている?
大谷翔平、2打席連発での大変貌。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byKyodo News
posted2018/08/13 07:00
8月3日のインディアンス戦の3回、2打席連続の本塁打を放った大谷。相手投手も打たれた瞬間落ち込むほどの当たりだった。
トーリ監督がツーシーム対策を助言。
日本の本塁打王だったゴジラ松井がメジャーで苦しんでいたのは、米国投手特有の速く動くボール“ツーシーム”だった。メジャー1年目の松井は「今までに見たことのないボール」と表現し、外角へ逃げて行くそのボールに二塁ゴロ、一塁ゴロの山を築いた。
その姿を日々、目にしてきた当時の将、ジョー・トーリ氏は松井に助言を送った。
「外角へのツーシームにそれほど苦しむなら、ホームプレートに少し近づいてみたらどうだろうか」
松井にとって、ホームプレートに近づくことは“自分のストライクゾーンの見極めが難しくなる”と言う感覚があった。だから、それ以前にも同様のアドバイスをする者はいたが、なかなか受け入れられないでいた。
だが、この日ばかりは思い切って半足ほど(約15cm)ホームプレートに近づいて打席に立ってみた。その結果、大爆発は起きた。
左方向への打球はいい傾向。
話を大谷に戻そう。彼も打てない投手のタイプは明確だった。メジャー特有の速いモーションから150キロ以上の球速でボールを動かしてくる投手には苦戦していた。「自分らしい型」と表現した逆方向への本塁打が生まれなかった理由もここにあると言った。
「(メジャーの投手たちが)させてくれなかったという表現の方が正しい。あの方向に本塁打、強いボールを打つというのは、150キロが当たり前の中でなかなかできなかった」
大谷が「まだまだ自分の型があるような感じではない」という理由は、2本の本塁打を放った球種にあるのだろうか。1本目は96マイル(約155キロ)、2本目は94マイル(約151キロ)。ともに素直なフォーシームだったのだ。
だが、その半信半疑のコメントも8月7日のタイガース戦で右腕ターナーの95マイル(約153キロ)の外寄りツーシームを左中間スタンドに放り込むと随分変わった。たしかに、8月3日から7日までの5試合では、8安打中7本が中堅から左方向に飛んでいたのだ。
「元々あっちの方が多い。元に戻ってきたと言うのが正しい。飛距離も出ているのはいい傾向じゃないかと思います」