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最多は黒田、追う田中&マエケン。
メジャーで二けた勝利を続ける価値。
posted2018/07/27 11:30
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Getty Images
エンゼルスの大谷翔平を中心にメジャーリーグを眺めてしまうと、他の日本人選手の活躍は他のニュースに飲み込まれてしまう。だが、ヤンキースの田中将大とドジャースの前田健太の2人は、その激流の中でも着実に自分たちの立ち位置を築き上げていることを感じさせる。
7月24日の敵地でのレイズ戦で今季初完封して8勝目を挙げた田中は、メジャー通算60勝に達し、日本人歴代3位の63勝を挙げている岩隈久志に「あと3勝」に迫った。
今季中に単独3位に繰り上がる可能性は高く、健康でありさえすれば、来季は歴代2位の79勝を記録している「ヤンキースの先輩」、黒田博樹の背中も見えてきそうだ。
日本人の歴代記録なんて、何の意味もない――。
いやいや、少し考えてはくれまいか。もう彼が海を渡ってから20年以上が経つというのに、日本人投手はいまだに野茂英雄の通算123勝という数字を破れてないままなのだ。
偉大な先人に対するリスペクトが自然と生まれるのは素晴らしい。メジャーリーグで長く活躍し続けることの厳しさを痛感するのも仕方ない。
だからこそ、それらの通算成績を余裕で破るぐらいの日本人選手が出てこないことには、いつまで経っても「進歩」が感じられない。
「勝ち星」はどうすると手に入るか。
また、「セイバーメトリクス(野球の統計分析学)こそは野球の醍醐味」と考える人ならば、投手の勝利数など「真の力量を示す数字ではない」と結論付けるかも知れない。
異論はない。「勝ち星」が付く可能性はその日本人投手が所属しているチームの強弱に大きく関係するので、それに異論はまったくないのだが、そういうチームのメジャー枠に生き残っていなければ「勝ち星」に恵まれることはない。
「その投手が投げている間にチームがリードしている」、もしくは「その投手が投げた時にチームが逆転する」という風に大事な場面で投げているからこそ、「勝ち星」は拾えるのではないか。
それを単なる「運」だと言うのなら、チームが求める仕事をその投手が確実に遂行しているからこそ、その「運」が「勝ち星」に結び付くのではないかと思う。