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オカダ・カズチカは壊れてしまった!?
G1クライマックス「笑顔」の大苦戦。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2018/07/25 11:00
「レインメーカー(大金を稼ぐ男)」というより、ちょっとプアな出で立ちになっている最近のオカダ・カズチカ。
ぎごちなく歯を見せて「ニーッ」と笑う。
7月14日、G1クライマックス開幕戦の大田区総合体育館では、G1初参戦のジェイ・ホワイトに25分以上を費やした挙句のフォール負け。
中1日置いた7月16日の札幌・北海きたえーるでは、バッドラック・ファレにも13分余でフォール負け。そこには傷心のオカダがいた。
それでも、「笑顔がテーマだ」というオカダは、無理やり笑顔を作る。
その場でオカダは、唐突に記者やカメラマンに「イチたすイチは?」と振ってきた。算数の1+1=?の答えを要求しているのだが、その急な問い掛けに周囲の誰も答えようとしない。さらにオカダは「1+1=?」と繰り返し、今度は自分で「ニーッ」と、ぎごちなくもオーバーに笑って見せたのだ。
その不自然な作り笑いが、今のオカダの置かれた状況を妙に象徴しているように感じた。
公式戦3戦目、後楽園ホールではハングマン・ペイジにも苦戦した。もしかしたら、3連敗して、オカダはG1から早くも離脱してしまうのではないか、とも思えた。
「今の変てこりんなオカダじゃなくて」
ペイジは今のオカダをこう表現した。
「オカダはベルトを取られて以来、様子がおかしい。このG1が始まってからもずっとそうだ。試合もおかしいままだった。だから、勝つチャンスはあったんだ。でもね、オレが本当に勝ちたかったのは、今の変てこりんなオカダじゃなくて、前の本物のオカダだったんだ」
相手にこんなことを言わせるくらい、オカダは豹変してしまったわけだ。ペイジにはやっと勝ったが、その戦いの内容はと言うと、強引にレインメーカーを2発繰り出して、面目を保っただけだ。
オカダが言うところの「余裕の勝利」には程遠かった。