球道雑記BACK NUMBER
プロ11年で一軍43登板の崖っぷち男。
ロッテの29歳・阿部和成が広島斬り。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/06/06 07:00
阿部和成が試合の流れを引き寄せて、広島に勝ち越したロッテ。彼の野球人生はまだまだこれからなのだ。
2人の息子にかっこいい姿を。
試合後、家族と顔を合わせると「お疲れ様」と優しい声をかけられた。
回跨ぎの2イニング目で自分が出したフォアボールから失点したことが、少し恥ずかしくも感じたが、支えてくれた家族に感謝の意を伝えると、『まだまだこれからだ』と、すぐに気持ちを入れ直した。
TwitterをはじめSNSでは、この日の阿部の投球を見て、「感動した」というロッテファンの声が少なくなかった。11年目の苦労人が這い上がる姿を期待しているファン、そこから勇気をもらえるファンも必ずいるだろう。
幼い2人の息子にも、父親のカッコいい姿をまだ見せられていない。だが、過去2年とはほんの少し違う自分も感じている。
「もう、終っちゃったのかな」
「バカヤロー! まだ始まっちゃいねえよ」
映画「キッズ・リターン」のあの名セリフが、どこからか聞こえて来そうである。