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ジョコビッチ戦も「打開したい」。
錦織圭の自信を裏付ける変化とは。
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byGetty Images
posted2018/05/18 11:50
観る者を唸らす変幻自在のプレーが戻った錦織圭。ジョコビッチを撃破すれば、その復活ぶりは世界にも大きく伝えられるはずだ。
グラウンドストロークが火を噴いた!
試合開始後の数ゲームで、好調ぶりと集中の高さが見てとれた。ディミトロフ戦のようにハラハラしながら見る試合ではないことが分かった。
サーブが安定し、サービスゲーム全体で74%と高い得点率をマークした。リターンでも出だしの数ゲームで予測とタイミングが合うようになり、優勢のラリーが多くなった。
そして、グラウンドストロークが久々に火を噴いた。ボールの伸びと、相手を右往左往させる配球は本来のきらめきを放っていた。
6-1、6-2の圧勝。1時間3分のひとり舞台だった。試合後は「ミスは少なかったし、ほぼ完璧に近いプレーができていた」。とうとう「完璧」という単語も飛び出した。
感覚がいいから、いい気分で試合や練習に臨めるのか。精神面の充実が好調なプレーを導くのか。いずれにしても、昨シーズンには見られなかった明るいボディランゲージだ。
故障による離脱で時間とランキングは失ったが、その分、ハングリーさとテニスを楽しむ気持ちを回復したようだ。
「いつか、できれば明日、打開したい」
前向きな気持ちと、徐々によみがえる自信、そして勝利への渇きを胸に、準々決勝では対戦成績2勝12敗、現在11連敗中のノバク・ジョコビッチに挑む。
「彼とやるときは、弱いところをつかれる気がする。そういうことができる選手。いつか、できれば明日、打開したい」
強気の言葉がここでも聞かれた。