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ジョコビッチ戦も「打開したい」。
錦織圭の自信を裏付ける変化とは。
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byGetty Images
posted2018/05/18 11:50
観る者を唸らす変幻自在のプレーが戻った錦織圭。ジョコビッチを撃破すれば、その復活ぶりは世界にも大きく伝えられるはずだ。
全仏での16シード以内も見えてくる。
それでも、試合後は饒舌だった。
「お互い、いい試合ができたのは、まずよかった」
クレーコートシーズンに入って、なかなか調子が上がらない年下のライバルを気づかいながらのコメントに、充実感がにじんだ。
第3シードを破って3回戦進出。うまく勝ち進めば、今月末に開幕する全仏で16シード以内に入る可能性がある。このことがどれくらいモチベーションになっているのか、試合後に聞いた。
「ひそかには思っている。大々的に目標にしてもプレッシャーがかかるだけなので、心の底の底くらいでは考えてはいる。2回戦でディミだったり(マドリードで)1回戦でジョコビッチだったり、結構あり得ないような日常が続いているので、早く上がりたい」
あまり考えないようにしている、と簡単に答えても許される状況だが、「心の底の底」を明かすという大サービス。つまり、プレッシャーよりチャレンジャーとしてのメンタリティ、「また上の方に行ける」という楽しみが今は優勢なのだろう。
「相手が誰であろうと勝てそう」
会見では、いつかどこかで聞いたような、こんな言葉も。
「相手が誰であろうと、勝てそうな気は徐々にしている」
フィリップ・コールシュライバーとの3回戦にも、そんな前向きな気持ちで臨んだことだろう。
相手は2007年以降、世界ランキング20位台、30位台の定位置をほとんど譲らない、名脇役のような選手である。今季ミュンヘンで準優勝と、クレー巧者ぶりを発揮している。ただ、この日の錦織なら、相手が誰であろうと結果は変わらなかっただろう。