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部活から飛び出した女子がNCAAに!?
池松ほのか、米国バスケ武者修行。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byYoko Miyaji
posted2018/04/23 10:30
ロバートモリス大でプレーしている池松ほのか。日本人だけでなく、欧州出身選手も多い、多国籍なチームである。
重要だった、ワンハンドシュートの技術。
大学のチャーリー・ブスカリア・ヘッドコーチ(HC)も、「すぐにインパクトを出せる選手を探していたから、ワンハンドのシュートの基本を身につけていて、シュートを大きく改造しなくてもいい選手だったということは大きかった」と言う。
当時のチームの事情で即戦力を求めていたため、大学に入ってからシュート・フォームを変えて、慣れるのを待つ余裕がなかったのだ。
実は当時から熊本レッドベアーズは世界基準を目標に掲げるクラブチームで、女子でも全員がワンハンドシュートを教わり、打っていた。
池松も、小学6年の頃からワンハンドシュートを打っており、「それが当たり前っていう感じです」と言う。
逆に、日本式の両手シュートなどには抵抗を感じていたという。
「日本ではここ(胸のところ)から打てと言われるんです。意味わからない。そういうときは、身体が反抗していました」
「めっちゃ“チキン(臆病)”です」
あくまで“ゴーイング・マイ・ウェイ”。
童顔や、その語り口からはほんわかした印象を受けるが、実は自分なりの信念をもっている。
試合中も口をキリっと結んだ表情をすることが多く、確かに芯は強そうだ。
こんなことも言っていた。
「“押せ! 押せ!”という性格でもないから、無理だなと思ったら引きます。ルーズボールの話に例えると、転がってきたボールに自分が行って、取れると思ったら行きます。
でも80%ぐらいで相手が取れるなって思ったら、引いて、そのディフェンスをして守るほうを選ぶ。コーチから見たら『取れよ!』ってなると思うんですけれど、自分的には自分の考えがあってやっているんで」
もっとも、何にでも強気で自分のやることにすべて自信を持っているかというと、そういうわけでもないようだ。
「プレッシャーに弱いんです。めっちゃ“チキン(臆病)”です」と自ら認める。自信と弱気が、コインの裏表のように交互に顔をのぞかせる。
「ハンドリングは誰にも負けないと思います」と断言したと思ったら、「でも、試合ではプレッシャーに弱いからポロっと(ボールを)落としたり」と続ける。
さらに「でも、スキルメニューだったら、たぶん誰にも負けないと思います」と言って、フフっと笑って見せる。その振り幅が面白い。
そんな池松を叱咤激励して支える森田ACは、「不思議ちゃんですよね」と苦笑し、「(弱気なのは)たぶん完璧主義なんだと思います」とも分析する。