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錦織圭の復帰後2カ月をどう見るか?
復活した好敵手デルポトロが辿る道。
posted2018/04/04 08:00
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph by
Getty Images
錦織圭の長年のライバルで、こちらも手首のケガから長いブランクを経て復活したフアンマルティン・デルポトロが、初春の北米シリーズで大活躍した。メキシコ・アカプルコとマスターズ1000の米国・インディアンウェルズ(BNPパリバオープン)で2週連続優勝を飾り、同じくマスターズの米国・マイアミオープンでも4強入りした。
インディアンウェルズの決勝で敗れたロジャー・フェデラーが、こうデルポトロを称えている。
「ケガをしたり、手術を行なった選手にとって一番大変なのは自分への疑いが生じることだろう。カムバックできるか、怖さを乗り越えられるか、もう一度自信を取り戻せるか。2年前、復帰してきた彼は、優勝できないと分かっていても、スライスだけでどこまでできるか、気力でやってみようとしていた。容易にできることではない。これこそ尊敬に値する」
両手首を手術もリオ五輪で銀メダル。
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デルポトロは2009年の全米オープンで四大大会初優勝、'10年1月に自己最高の世界ランク4位をマークしたが、その後、両手首のケガに苦しんだ。'10年5月に右手首、'14年3月と'15年1月、同年6月に左手首と、手術は計4度に及んだ。右手首の故障を克服したのに、次は左手首、しかもこちらはさらに手強く、カムバックしては故障再発の繰り返し。どれだけ己の不運を呪い、自分を疑ったことだろう。
2度の手術を行った'15年には公式戦に2大会しか出場できなかった。四大大会では'14年全仏から'16年全仏まで9大会連続欠場。'16年2月には1045位までランキングを落とした。
'16年2月に復帰したが、フェデラーが話したように、しばらくは左手首をかばって両手打ちのショットが打てず、バックハンドは片手打ちのスライスだけでしのいだ。
力強い両手打ちバックハンドは武器の1つだが、ブランクが長引いたため、ひとまず片翼で飛び立つことを選んだのだ。
それでも'16年のリオ五輪では銀メダルを獲得した。サーブとフォアハンドの強打、それと勝利への執念だけでノバク・ジョコビッチやラファエル・ナダルを破ったプレーには、鳥肌が立つような凄みがあった。