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ドラフト視点で選抜ベスト9を選出。
やはり2018年はショートが豊作だ。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2018/04/03 07:00
“三刀流”とも称される大阪桐蔭の根尾。そのセンスは今年の高校球児でずば抜けている。
見逃せない根尾の捕球時のステップ。
三塁手は強打者ぞろいだ。成瀬は駒大苫小牧、東海大相模戦で2安打ずつ放ち、駒大苫小牧戦の2安打は打点つきだ。北村は文元と同様に動きが小さく、さらにボールを捉えるまでのステップが巧み。かつて中日の名選手、立浪和義は「バッティングで最も大切なのはタイミング」と言っているが、北村からもバッティングの奥義を掴み取ろうとする意欲が感じられる。
今大会最大の特徴はショートの好選手が多いことで、ドラフト候補として6人挙げた。その中で頭ひとつ抜けているのが根尾だ。昨年から評判の選手で、あるスカウトは「ドラフト1位確実」と言い切るほどである。
私が注目したのは捕球するときのステップで、細かくリズミカルにステップを踏んでいた。強肩強打も候補の中ですば抜けており、チームメートの柿木、藤原恭大(外野手3年)とともにドラフト1位候補に挙げられている。
オリックス吉田正尚のような齊藤。
外野手の候補は藤原以下、森下翔太(東海大相模3年)、上杉龍平(東海大相模3年)、齋藤來音(静岡2年)、上田優弥(日本航空石川3年)、谷合悠斗(明徳義塾3年)、左向澪(智弁学園3年)という顔ぶれ。
藤原は体調が万全でない中、伊万里戦で2安打を放ち、第2打席の二塁打での二塁到達タイムは7.76秒という速さだった。守備での俊足や強肩もドラフト1位候補の名に恥じない迫力で、充実の時を迎えている。
森下は文元、北村と同様、バッティングの動きが小さいのがいい。メジャーリーグで主流のアッパースイングが日本の高校野球でも見られるようになったが、森下は浅い縦軌道でボールをとらえる従来型。最短距離でボールを捉える、効率的なスイング軌道だ。
齋藤は初戦の駒大苫小牧戦で3安打を放ち、第1打席は内野安打で一塁到達タイムが4.06秒、第2打席は2死一、二塁の場面でタイムリー三塁打を放ち、第3打席は1死二、三塁の場面で三塁打を放ち(2打点)、三塁到達タイムが11.79秒だった。
フルスイングを見て似ていると思ったのがオリックスの吉田正尚。俊足プラス好守、そして強打という現代的なセンスを持ち合わせる、楽しみな2年生である。