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Jリーグの平日開催は必然なのだ。
反発覚悟で導入するしかない事情。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2018/04/02 07:00
今季ブンデスリーガでは月曜日開催に反対して、テニスボールがピッチに投げ込まれたことも。
スポーツ観戦のあり方を変革する可能性。
平日開催のポジティブな要素はもう1つある。それはスポーツ観戦のあり方を変えるきっかけになり得るということだ。
実はブンデスリーガでは、スタジアムの熱狂が失われつつあるというデータがある。
今季27節終了時点で、ブンデスリーガは1試合平均45356人の観客を集めている。例年、シーズンの最終盤になるとどこも満員の観客を集めるため、2011-'12シーズンに記録した44345人を更新して、史上最多の観客を集めることが濃厚だ。
ただ1試合ごとのチケット完売率は、2月末時点で31.9%。これは直近10シーズンで最低の数字だ。そもそも30%台になったのが初めてで、2番目に低かった'13-'14シーズンでさえ、40.5%を記録していた。
観客動員数が増えたのは、ライプツィヒのような新興クラブが観客動員数を増やしたことと、現在の1部リーグに収容人数が大きいスタジアムを持つクラブが軒並みそろったからだ。観客動員数は増えていてもスタンドの空席は多く、熱気は冷めている。それが現状である。
ファンを「鑑賞型」から「参加型」へ。
つまり、世界のスポーツ界ではNFLに次いで2番目、サッカー界では最も多くの1試合平均観客数を集めるブンデスリーガでさえ、今後ライブ観戦の価値を高めなければならない時期に来ている。
そして、これを解決するための方針は、ある程度明確になっている。スポーツ観戦のエンターテインメント化を進めるしかないということだ。
従来のヨーロッパのスポーツ観戦は、オペラやクラシックを観に行くような「観賞型」だった。それに対してアメリカのスポーツ観戦は、テーマパークに遊びに行くような「参加型」だ。
実際、日本でもアメリカの影響を色濃く受ける野球界では、ビールを飲めるテラス席やバーベキューが出来る席など、試合観戦以外の楽しみを提供できている広島カープや横浜DeNAベイスターズが観客数を伸ばしている。