猛牛のささやきBACK NUMBER
オープン戦4本塁打で突如注目株に。
オリ宗佑磨、今は天真爛漫を封印。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2018/03/22 17:00
宮崎キャンプは二軍スタートだったが、終盤の2月下旬に一軍に上がった。
慣れたショートの方が100倍緊張。
その宗が、今は「いい緊張感」でやれている。
昨年、一軍出場8試合目の9月27日に念願の初安打が出たことや、一軍にある程度慣れたせいもあるだろうが、ポジションが変わったことが大きいと宗は言う。
「内野は100倍緊張しますから」
コンバートしたばかりの外野よりも、慣れ親しんだショートの方が緊張すると言うのだ。
「僕は一歩目の反応が悪いので、一歩目に集中しよう、集中しようって考えていたら、何もプレーしていなくても汗ビチョビチョになっていました。外野でももちろん一歩目に集中するし、緊張してないわけじゃないんですけど、外野は距離があるので……」
たとえ一歩目の反応が遅れたとしても、外野なら自慢の俊足をとばせばある程度はカバーできる。
「今はなんとか足でカバーしないと。でもいずれは一歩目からいいタイミングでスタートを切れるようにやっていかなきゃいけないと思っています」
「センターが穴なので、絶対獲ります」
とはいえ、ショートに愛着やこだわりはあった。昨年10月のフェニックス・リーグでも、宗はほとんどの試合で外野を守っていたが、リーグ終盤、久しぶりにショートを守った。その時、「ショート守るの、最後かも」と寂しそうにつぶやいた。
今年の春季キャンプでは再び内野手として練習していたが、一軍のセンター候補が決め手に欠ける中、打撃好調だった宗に白羽の矢が立った。福良監督に「外野興味あるか?」と声をかけられた時、宗はいろいろな思いを吹っ切って、「はい、あります」と答えた。「できるか?」という問いにも、「できます。やります」と即答した。
その日、宗は強い決意を口にした。
「やっぱりきたか、という感じでした。もちろんショートをやりたい気持ちはありましたけど、出られるなら、レギュラーに一番近い場所でやりたいので、ポジティブに考えます。逆に『(外野)いいんですか? ありがとうございます!』って感じです。今センターが穴なので、奪います。獲ります。絶対獲ります」