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トランプ政権に戦いを挑む黒人選手達。
「俺たちは黙ってドリブルなんてしない」
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byGetty Images
posted2018/03/16 11:15
スーパースターとして、そして、1人のアフリカ系アメリカ国民として声を上げたレブロン。
断固戦い続ける意思を示したジェームズ。
今回の女性キャスターの差別発言にもジェームズは怒りを爆発させた。
NBAのオールスター試合前に会見に応じ、「黙ってドリブルなんてしない。俺たちには恵まれない環境にいる子供達を救う役目がある。自分は社会にとって大きな存在意義があって、彼らを支えるプラットフォームにならないといけないんだ」と話し、「その女性(キャスター)がどこの誰か知らないけれど、オールスターという全世界が注目している場所で、こういう社会の不公平さや平等について話す機会を与えてくれたんだから感謝してるよ」と語った。
子供達に、そしてマイノリティに影響力があるからこそ、誰に何を言われようと声を上げなければならない。
戦い続ける――そんな強い意志が感じられた。
銃規制を訴える高校生を支援。
現政権に対し、異なる形で声を上げているのが、マイアミ・ヒートのドウェイン・ウェイドだ。彼はジェームズのようにオピニオンリーダーだったわけではない。ある事件が彼の心を突き動かしたのだ。
今から約1カ月前のバレンタインデーの日、フロリダ州にあるストーンマン・ダグラス高校で銃乱射事件が起こり、17人が命を落とす大事件が発生した。
被害者の1人、ホアキン・オリバー君はウェイドの大ファンで、地元マイアミ・ヒートに復帰したことをとても喜んでいたという。
彼の棺の中にウェイドのユニフォームが入れられたというニュースが流れると、ウェイドは即座に反応。
「ホアキン・オリバーは被害にあった17人のうちの1人だ。俺たちは黙ってドリブルなんてしない。バスケットよりも重要なことだ。俺たちは声なき者の声になるんだ。ホアキン、安らかに眠れよ。残りのシーズンを君に捧げてプレーする」とツイート。
オリバー君の名前をバスケットシューズに書いて試合に出場し、勝利を決めるシュートを放っている。