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リーガで唯一の無失点ホーム6連勝。
3-5-2で戦う昇格組ジローナの秘密。 

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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posted2018/03/15 10:30

リーガで唯一の無失点ホーム6連勝。3-5-2で戦う昇格組ジローナの秘密。<Number Web> photograph by Getty Images

哲学者のような風貌だが、パブロ・マチンは生粋の戦術家である。ビッグクラブからの声がかかる日も近い?

グアルディオラの孫弟子でもある。

 ところでロティーナは、戦術家として頭角を現すマチンにとって最初の教師でもあったという。

「サッカーの戦術的な見方を教わった。特定の場面で特定のプレイが必要な理由を理解させてくれた」

 '90年代の多くのチームが時間を費やしていた守備戦術を学んだマチンは、その後アシスタントコーチとして付いたアルコナーダ(元レアル・ソシエダ監督)から現代的な練習方法を、ウンスエ(現セルタ監督)からは“バルサ流”を習得している。

「ライカールトやグアルディオラのスタッフでもあった彼が教えてくれたことは、それまで自分がやってきたこと、戦術でいうなら守備に関するものの改善に役立った。加えて、バルサの攻撃戦術やポジショナルプレイを学ぶこともできた」

 独り立ちしたマチンは'11年夏から2部でヌマンシアを率いた。が、そこでの2年間は見せるサッカーも試合の結果も全て凡庸だった。彼の手腕が開花するのは'14年3月に始まるジローナ時代においてである。

2部の最下位から、3-5-2で戦ってきた。

 マチンのジローナ最大の特徴は、スペインでは珍しい3-5-2のフォーメーションだ。彼はこれをジローナでの初陣から使い続けている。もっとも、変わっていないのは数字の並びだけだが。

 4年前、マチンが引き受けたジローナは2部の最下位で喘いでいた。そこで彼は現役時代、ロティーナの下で慣れ親しんだ陣形をチームに植えつけることにした。2部B降格を免れるために必要な勝負強さと自信を選手に持たせるには、最終ラインを5人で形成する恩師の3-5-2が最も効果的と考えたからだ。

 果たしてジローナは2部残留を成し遂げた。するとマチンは舵を反対に切り、3-5-2をそのまま攻撃に活かし始めた。いま、ジローナの3-5-2とロティ―ナの3-5-2は全くの別物だとマチンはいう。

【次ページ】 マチン「どんなサッカーをしたいのか」

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