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プロレス界に「もう1人の清宮」。
ノア待望の次世代スター選手の素顔。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2018/02/15 11:00
海外修行から帰国し、身体のサイズもひと周り大きくなり……トップを狙う清宮。
清宮の夢見た帰国第1戦でのタイトル奪取は消えた。
現在のノアのGHCヘビー級王者は拳王だ。
この拳王の持つ王座に、清宮は今年の1月6日に挑んでいる。
21歳という若さでの戴冠も期待されたが、それはかなわなかった。
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ただ……清宮は新鮮な技を観客に見せつけてくれた。バリエーションのあるリバースのDDT。あるいは巻き込むようなフェイスバスター。決め技にはタイガースープレックスホールドまで用意していたほどだ。
だが、王者の拳王はしぶとく22分で、清宮をキックでKOした。
清宮の夢見た帰国第1戦でのタイトル奪取は消えた。
ただ、その時に清宮は少なからず可能性を感じたのか、現実的な目標を1年以内の王座奪取に設定したようだ。
ウェイトは、連戦の疲れなのか意識的に絞ったのかはわからないけれど、100キロ前後にまで落ちていた。
「3年以内にトップを取れるだろう」
2月2日に後楽園ホールで対戦した丸藤正道は、清宮というプロレスラーを高く評価している選手の1人である。
「3年以内にトップを取れるだろう。技もいっぱい持っているしね。オレなんかより、はるかに持っているものがあるよ」
そうは言うものの、試合では「まだまだだぞ」と言わんばかりにチョップやヒザを清宮に見舞って、最後は「不知火」で仕留めてみせた。
結局この時も清宮は、「全部ぶち壊す」「超える」と言っていた壁を超えられなかったわけだ。
丸藤戦の直後、会見場の床に倒れ込んだ清宮は、その敗北の悔しさをさんざん口にし続けていた。