マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
佐藤世那、3年目のフォーム改造。
過去2年を捨てるたった1人の覚悟。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2018/02/14 10:30
甲子園での活躍と、ドラフト6位。佐藤世那が化けることを楽しみにしているファンは数多くいるはずだ。
たった1人で勝負するプロ野球の世界で。
人は味方がほしいものだ。
熾烈な闘いの中で生きている者ほどその渇望は激しいはずだが、それをオモテに出さないのも、彼らの常であろう。
チームに、同郷がいない。東北もいない。高校の先輩も、縁のある人もいない。
と……ここまで考えて、いや仮に縁のある人がいたところで、それがどれほどの味方になろう。
彼はプロ野球という、ひたすら“ピン”で勝負の世界に身を投じたのだ。
「フォームをもとに戻したと思えば」
佐藤世那は笑って話してくれたが、彼の中には「ならばこの2年間はなんだったのか」……そんな反問も必ずあるはずだ。
去年までの2年間を捨てる覚悟、そして今年を「プロ元年」と心得る開き直り。味方につけるとしたら、そこのところなのかもしれない。
敵は我にあり。味方もまた我の中にあり。
15日の紅白戦、彼らしく投げられることを遠くから願っていようと思う。