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岡野より俊足、自己管理、強運。
平川忠亮は浦和で生き残り続ける。
text by
佐藤亮太Ryota Sato
photograph byGetty Images
posted2018/02/11 09:00
ACLを含む様々な大会で浦和のために戦ってきた平川。心身両面でのタフさは、柏木らも感服しきりだ。
「契約をもらった以上、責任感を持って」
平川は2017シーズンを終えて、こう振り返っていた。
「契約をもらえるかどうか、緊張というか……どうなるか分からないと思った。でも、ちょうどそのとき監督が堀さんになって、使ってもらうようになった。チャンスをもらえずに終わっていくのがよくある終わり方だけど、チャンスをもらえているから精一杯やって、それでダメなら開き直ろうと思った。正直、この年齢だから、どうなっても仕方がない、そう思いながら全力を出し尽くした」
その気概は2018年も続いている。
2次合宿中の川崎フロンターレとの練習試合でのこと。右サイドからドリブルで仕掛けた平川が縦に抜けてクロスを上げ、FW興梠慎三がヘディングシュート。惜しくもポスト直撃だったが、タイミングは合っていたのだろう。興梠はすまなそうに平川に向けて手を挙げていた。
「契約をもらった以上、責任感を持ってやらなければならない。やりたくてもやれない選手がいるなか、若い選手以上にやらなければならない」
そんな一念がこもったプレーだった。
小野伸二らに引っ張ってもらった力を若手に。
平川が生まれた1979年は、小野伸二(札幌)を筆頭に黄金世代と言われ、いまだ現役を続ける選手が多い。日本サッカーにとって特別な世代だ。
「周りに良い選手がいたから、ここまでやってこられた。ワールドユースや日本代表に入った彼らに引っ張ってもらった」
A代表招集経験こそない平川だが、その背中を見て育った選手は多い。例えば宇賀神友弥は平川とのマッチアップで技術を学び、盗み、自分の武器に変えてきた。