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ホリエモン万博の「泥仕合」って!?
素人の試合で……人間ドラマを実感。
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byYumika
posted2018/02/09 16:30
グローブも防具も大きく、腹も出てるし、体力も無い……だが、懸命にパンチを繰り出す姿には何かがある!
「やっぱり、そんなに殴られてました?(笑)」
2ラウンド目も3ラウンド目も同様の展開だった。
山野選手はボコボコに殴られ、鼻血を出し、2度のスタンディングダウンを取られた。KO寸前なのは明らかなのに、懸命に手を出し続ける。試合終了直前には、左右のフックをヒットさせた。
もちろん判定の結果は龍彦選手の勝利。それでも、爽やかなお辞儀とともにリングを去った山野選手に、大きな拍手が贈られた。
試合後の会場通路で、真っ赤に顔を腫らした“ハイパー営業マン”に、話を訊いた。
経験もなく、一方的に殴られる展開。
それでもなぜ、反撃できたのですか?
「いや、リングの上に立ったら緊張で何も聞こえなくなって、ほとんど覚えてないんですよ。でも、試合中にふと『手数出せ!』というセコンドの声だけが耳に入って、勝手にパンチが出ただけです。やっぱり、そんなに殴られてました?(笑)」
「営業の仕事にも役立つと思うんです」
きつい、痛い。本業があるにも関わらず、なぜ、こんなに本格的な格闘技イベントに参戦したんですか?
「出ることが決まるまでは、やってみたいなぁ程度の考えだったんですけどね。実際にリングに立ってみたら、言葉にならないほど気持ちよかった。
今、30歳。普通のボクサーならもう引退を考える年齢ですけど、またやりたいなと思いました。営業の仕事にも役立つと思うんです。
試合までの1カ月半は酒もラーメンも断って、ストイックにトレーニングした。こうやって鍛えたメンタルが、仕事に活かせるかなって」