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大坂なおみはなぜ世界で愛されるか。
個性が薄れる女子テニス界の異端。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2018/01/24 11:30
ハレプに完敗も、初のグランドスラム16強入りに、手応えを感じているようだった大坂。
大幅な体重減とコーチの変更など、改革路線は続く。
テニスでも思い切って改革に挑んでいる。
オフシーズンには連日4時間もジムで時間を費やして7kgも体重を落としたせいか、課題の1つだったスピードが顕著に上がり、コートに立つ姿もより美しくなった。
コーチを変えたことも改革路線の一環だ。
昨シーズンをともにしたオーストラリア人のデビッド・テイラー氏との契約を解消し、ヒッティング・パートナーとしてサーシャ・バインというドイツ出身の34歳を招いた。セリーナ・ウイリアムズやビクトリア・アザレンカ、カロライン・ウォズニアッキといった元女王たちのヒッティングを務めてきた人物だ。
新ヒッティング・パートナーは「友達」感覚!?
テイラー氏が「先生」でバイン氏は「友達」だと、大坂はその関係性の違いをわかりやすい日本語で言い表したが、トッププレーヤーたちがこぞってヒッティング・パートナーとして求めるバイン氏の手腕については前から気になっていた。
現役選手時代はATPランキング1149位と芽が出なかったのだが、今大会中、ナショナルコーチとして帯同する古庄大二郎さんはその疑問にこう答える。
「打ち合いながら選手の自信を引き出すのがとても上手ですね。いいショットを打ったときのリアクションもそうですし、声をかけて楽しくコミュニケーションをとりながら練習しています。なおみちゃんはシャイなところがありますが、すごくいい影響を受けている」
練習を見ていると、大坂が豪快なショットを返したときは「ヒュー」と口笛を鳴らしたり「ワオ!」と目を見開いたり……多少大げさなくらいのリアクションでいい気持ちにさせる。あるいは、自分も必死にボールを追いかけてみせ、それでも返せなかったことを強調して選手のショットの価値を高める。