ヴェルディのサポーターは彼の変化に驚くはず。

　中2日の試合間隔で2試合連続フル出場を飾り、ショートパスを選択していたシチュエーションでクロスから決勝ゴールを導いた。運動量と連続した守備を意識し、それでもなお、戦うこと、強くなること、走ることの必要性を突きつけられた。

「本当にこの期間はサッカーが楽しかったし、考えながらサッカーができたというか、自分のプレーを探りながら、試行錯誤しながらサッカーに取り組めた。それは、ここに来たからできたことだったと思います。日本を代表して今後も戦っていきたいし、サッカーをやっている以上、代表で生き残っていきたい。そのためにはクラブで結果を残すことや、日々の練習が大事になってくると思います」

　新しい自分に出会えたこと――。

　それが、井上にとって何よりの財産となる。

　井上を「ヴェルディのメッシ」と評したスペイン人指揮官、ミゲル・アンヘル・ロティーナをはじめ、チームメイト、ヴェルディのサポーターは、代表チームから戻ってきた井上に驚くに違いない。テクニックに定評のある小柄な貴公子が、力強く、逞しく変貌していることに。

　代表で身に付けたスタイルをJリーグのピッチでも体現したとき、東京五輪への道とヴェルディのJ1復帰が近づいてくる。