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広島は一軍帯同選手に新人ゼロ!
高卒から名選手へ、奇跡の育成力。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKyodo News
posted2018/01/23 07:00
プロ4年目の塹江は、今年こそ開幕一軍入りを狙う。左投手不足がチームの弱点とされているだけに、周囲の期待は大きい。
広島は昔から高校生をドラフト指名し、育ててきた。
一般的にドラフトでは即戦力は大学生や社会人から、素材型は高校生から獲得するという考えがある。目先のチーム力を上げるためには当然、即戦力と期待できる大学生や社会人を多く獲得した方が計算は立つ。
広島は'08年以降、昨年のドラフトまでの10年間で本ドラフトで指名した大学生は31選手。そして高校生は27人と、ほぼ大学生と同数にまで上る。15年連続Bクラスが続いた'12年までのドラフトでも方針はぶれなかった。
そして昨秋ドラフトも、高校生4人と素材型の大学生投手2人の計6人を本ドラフトで指名した。手薄なポジションと不安視されている左腕投手は、1人も指名しなかった。
高卒4年目までに、確実に戦力になっている選手たち。
広島はスタイルを貫くことができる確かな実績がある。
高卒新人を大学卒業までの4年の間に、確かな戦力となるように育成している。以下の高卒選手の4年目成績を見れば、一目瞭然だろう。
'12年 中田廉 27試合 1勝3ホールド 防御率3.89
'13年 今村猛 57試合 2勝5敗3セーブ 防御率3.31
'14年 中崎翔太 32試合 2勝3敗1セーブ 防御率3.92
'15年 戸田隆矢 34試合 3勝3敗5ホールド 防御率3.63
'16年 鈴木誠也 129試合 打率.335 29本塁打 95打点 16盗塁
'17年 中村祐太 15試合 5勝4敗 防御率3.74
上記の中で今村猛は、2年目の'11年にすでに54試合に登板しており、3年目は69試合で防御率1.89。同学年の大学生がドラフト指名を受ける'13年春にはWBC日本代表に選出されている。
'16年の鈴木も記憶に新しく、「神ってる」と注目を集め、翌年春のWBCで日本代表として世界の舞台に立った。