2年夏に甲子園出場も、最後の夏は県3回戦で敗退。

　甲子園のマウンドには2年生の夏に立った。1回戦のいなべ総合高校戦で1イニングを無失点に抑えた。背番号は11番。3点ビハインドの試合終盤での登板だった。

　3年生の最後の夏は山形県大会の3回戦で敗れた。

　最速151kmを誇るが、今はそのスピードだけで評価をされる時代ではない。よほどの高校野球通でなければ知らない名前だった。まさかまさかのドラフト1位である。

　年が明けて1月。

　新人たちが各球団の選手寮に入居を済ませ、新人合同自主トレを行っているというニュースが流れている。ファイターズに入団した清宮フィーバーの過熱ぶりも、遠い九州まで連日のように伝わってくる。

スポーツ紙記者も現場に来ない「外れ×3」の現実。

　しかし、吉住の動向はどうだ。

　1月7日、福岡県筑後市の若鷹寮に彼がやって来た日の光景は寂しかった。毎年、ドラ1新人の晴れの門出には新聞、テレビのほぼ全社が駆けつける。だが、テレビカメラは福岡地上波6局中3局しかなかったし、新聞も一般紙だけでなくスポーツ紙でも現場に来ていない社があった。

「外れ×3」の現実がそこにはあった。

　取材慣れしていない。初々しいと言えば聞こえはいいが、メディアが食いつくようなコメントはあまり出ない。今の所は「字になりづらい」選手だ。

　しかし、短いながらも彼が述べる決意の言葉は実に頼もしい。

「早く一軍に上がって投げたい」

　ごく当たり前の言葉だ。しかし、毎年のように新人選手を取材しているが、特に高校生選手の場合は「まずは体づくりをして」という枕詞がつきものである。

　吉住もプロの体ではまだない。基礎強化は当然だし現実的には「将来性を買って」の指名であることは間違いないのだが、ホークスに入団して同じユニフォームに袖を通した以上、競争社会の中に身を置いたことになる。高校生とはいえ「3年目までには」などと悠長なことは本来言っていられないのだ。

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