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ペレス会長がジダンに“嫌がらせ”!?
リーガ優勝は無理、最悪は解任も……。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2018/01/20 07:00
昨シーズンは名将中の名将という扱いだったジダンが一転して苦境に。スポーツの世界の評価は厳しい。
ジダンの戦術的手腕を疑問視する人も出始め……。
問題は正確性と決定率だ。そのシュート総数のうち枠内へ飛んだのは35.92%(125本)。1得点するまでに必要としたシュート数は10.88本。1試合平均得点は1.78。
全てここ10シーズンで最悪の数字である。現在のチーム最多得点者はC・ロナウド、アセンシオ、ベイル、イスコの4人だが、全員わずか4ゴールという体たらく。開幕からの18試合で5得点した選手が1人もいないという状況はクラブ史上初めてのことだ。
メディアの中には、ジダンの戦術的手腕に得点不足の原因を見出すところもあり、左右からのセンタリングに頼りっきりな点やラインアップを変えようとしない点などの疑問を直接ジダンにぶつけたが、明らかになったのは、監督自身の見方はそうではないということだけだった。
ペレス会長はジダンであっても解任する可能性が。
しかし、クラブのトップである会長はどうか。
不調の理由がなんであれ、強い自尊心を持つペレス会長が現状を耐えがたく思っているのは間違いない。そして、6年半続いた第1期と9年目に入った第2期を合わせてペレスがこれまで監督の首を10回すげ替えていることを考えると、大鉈がいますぐ振るわれてもおかしくない。
マドリーの内部事情に詳しい記者によると、ジダンの辞任を促す策をペレスはじわじわ進めているようだ。
ずばり、アスレティック・ビルバオのスペイン代表GKアリサバラガの獲得である。前述のとおりジダンは補強を求めていない。緊急性の全くないGKはなおのことであり、具体的に「監督として、いまGKは要らない」と記者会見で明言している。
それにもかかわらず、ビルバオとの契約が切れる6月末まで待てばタダで手に入るアリサバラガを、マドリーが今月中に2000万ユーロ(約27億円)で買い取ろうとしているのは、ジダンに対する嫌がらせだという。