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成功率100%で盗塁王獲得は可能か?
ロッテ荻野貴司が挑む究極の記録。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2018/01/18 17:00
通算153盗塁に対して、失敗は21回のみ。高い成功率を誇る荻野はその俊足をシーズン通じて発揮したいところ。
盗塁を仕掛けるには、まず塁にでる必要がある。
荻野の盗塁成功率は高いが、その“分母”となる盗塁を仕掛ける数は多くない。それは出場試合数が少なく、出塁率も伸びていないからだ。打撃面において実績を残している西川との差は、そのあたりにあるといえるだろう。
2017年はシーズン序盤につまずいてファーム調整の期間が長かったが、その分、しっかり身体をつくることができた。8月に入って一軍昇格を果たすと、スタメン出場した試合で猛打賞。そのままレギュラーを勝ち取り、月間3割近い打率を残した。9月に入ると打率.356、出塁率.380をマーク。打撃の好調は盗塁数増加へとつながり、8月からシーズン終了までに22盗塁を決め、俊足健在を見せた。
33歳を迎えても「まだやれる」という自信は、出塁さえできれば走力は衰えていないことを証明できたからだ。
「今は、どれだけ力を抜いて走れるか」
荻野はケガを繰り返した過程にあって、身体の使い方を変えたことが成果に繋がっていると語る。
「昔は体に力を入れて、筋肉に頼った走り方をしていました。だけど今は体の一部分だけを使うんじゃなくて、バランスよく動かしています。負担を減らして、どれだけ力を抜いて走れるかを心掛けています。今の意識でいると、盗塁面でも一歩目に違いが出るんです。力を入れていると"行くぞ"という感じになるので、一瞬スタートが遅くなる。でも力を抜いていると、スッとスタートが切れるんです」
年齢を重ねた分だけの経験と身体的な知識を得た荻野。足でもう一花咲かせる意欲を生み出している。
昨年のレギュラーシーズンを終えた頃、荻野はオフのトレーニングが楽しみだと語っていた。
「ケガをしたことで、トレーニングやリハビリには詳しくなりました。どういうトレーニングをしたら速くなるか、もっと走塁が良くなるかというのが自分の中でイメージできているんです。今までのオフはリハビリばかりだった。今年はそれがないし、もっとできると思うんです」