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バスケ天皇杯は初戦から熱すぎる。
千葉の超高速守備か、栃木の意地か。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2018/01/02 17:00

バスケ天皇杯は初戦から熱すぎる。千葉の超高速守備か、栃木の意地か。<Number Web> photograph by AFLO

富樫勇樹と田臥勇太。Bリーグが誇る2大スターの対戦を楽しめるのも、このカードだからこそだ。

データには残らなくても不可欠なプレーを評価。

 積極果敢な守備が可能なのは、得点数やスティール、アシスト数だけにとらわれずに選手を評価しているからこそだろう。2017年8月、「日本バスケットボール学会」という会合で大野はこう発言している。

「昨シーズンのオールジャパン(天皇杯)の決勝で、阿部(友和)選手は川崎のニック(ファジーカス選手)を相手に2本のディフレクションをしてくれました」

 ディフレクションというのは、相手のボールに少しでも触れて、ドリブルやパスをそらせる守備だ。さらに大野はこう続けている。

「阿部選手のディフレクションによって、ファジーカス選手がアウトサイドのスモールマンを見て攻撃せざるを得ない状況を作り出しました。彼のディフレクションは、スティールには記録されない。でもそこで貢献しているよ、と伝えないといけない」

 他にもアシストには残らないものの、ボール保持者のマーカーを妨害するスクリーンプレーによって、得点を演出するプレーもよく見ているという。ジェッツは今季新たに、ビデオアナリストを迎え入れた。データには残らなくても、チームにとって不可欠なプレーをしっかり評価したいという狙いがある。

 このプロセスを経て、先に挙げた大野の目標通りに、積極性とエナジーを伴った守備ができるようになった。

昨季Bリーグ王者・栃木と田臥が原点に戻った一戦。

 天皇杯は、ファイナルラウンドの全試合が中立地・さいたまスーパーアリーナで行われる。準々決勝でジェッツが激突するのは、栃木ブレックスである。そのブレックスも高いモチベーションを持っている。

 ブレックスの田臥勇太は昨季Bリーグ制覇のターニングポイントとして、ある試合を挙げていた。

「オールジャパンで千葉さんに負けて、みんなでもう一度原点に戻ろうとひとつになれたのが大きいんじゃないかなと思います」

【次ページ】 今や日本バスケットボール界を象徴するカードに。

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