酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
イチローの成績に肉薄した日本時代。
松井稼頭央の数字が異次元に凄い!
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byAFLO
posted2017/12/20 11:30
メッツの入団発表後にはニューヨークのタイムズスクエアで記念撮影に収まった松井。その注目度は全米でも高かった。
イチローでもできなかった30本塁打を2回達成。
イチローは2000年オフにポスティングでシアトル・マリナーズに移籍するが、松井が規定打席に達した1996年から2000年までの5シーズンの2人の通算成績を比較するとこうなる。
イチロー 2390打数 853安打 79本塁打 387打点 118盗塁 打率.357
松井稼頭央 2713打数 846安打 55本塁打 307打点 213盗塁 打率.312
打率ではかなわないが、安打数は7本差。そして盗塁数ではイチローを倍近く上回っている。イチローに匹敵するとまでは言えないが、松井稼頭央はイチローに次ぐスピードスターになったと言えよう。
イチローがMLB移籍後、松井稼頭央はイチローと同い年の小笠原道大(日本ハム)、松中信彦(ダイエー)、松井と同い年の福浦和也(ロッテ)らとタイトル争いを繰り広げる。
そして2002、2003年にはイチローが1度も打ったことのない30本塁打を記録、2002年にはキャリアハイの193安打、シーズン長打88本のNPB記録も作っている。
ベストナイン7回、ゴールデングラブは4回!
さらに松井は内野守備の要、遊撃手としても優秀だった。守備範囲の広さでは、これまたイチローと同い年の小坂誠(ロッテ)には及ばなかったが、もともと投手だけに肩がめっぽう強く、名手としてベストナイン7回、ゴールデングラブ4回に輝いている。
2003年の時点で松井稼の年俸はトップクラスの3.5億円。成績を見てもNPBでは「もうやることがなくなった」感じになっていた。
その2年前にイチローがMLBで衝撃的なデビューを果たし、以後も大活躍を続けている中で、松井のMLB移籍は、必然的だったと言えるだろう。
2003年オフに海外FA権を行使して、ニューヨーク・メッツと3年2010万ドル+出来高で契約。年俸は約2倍になった。NPBからMLBに渡った初めての内野手でもあった。