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イチローの成績に肉薄した日本時代。
松井稼頭央の数字が異次元に凄い! 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2017/12/20 11:30

イチローの成績に肉薄した日本時代。松井稼頭央の数字が異次元に凄い!<Number Web> photograph by AFLO

メッツの入団発表後にはニューヨークのタイムズスクエアで記念撮影に収まった松井。その注目度は全米でも高かった。

デビューイヤーで活躍できないと印象が良くない?

 もう1つ言えば、MLBではデビューイヤーが大事なのだ。1年目に好成績を残さないと、評価が一気に下落する。イチローは1年目でタイトルを取り、MVPまで受賞した。イチローというMLBトップクラスのブランドは、ここから築かれた。

 しかし松井稼頭央のように1年目にぱっとしないと、ブランド力は地に落ちる。記録重視のMLBと言われるが、意外なほどに「印象」が与えるものは大きいのだ。このあたり大谷翔平も注意すべきことだ。

 松井稼頭央以後、中村紀洋、井口資仁、岩村明憲、西岡剛、川崎宗則、田中賢介とNPBの一線級の内野手が海を渡ったが、短期間活躍することはあっても、十分な実績を上げることはなかった。残念ながら、現時点ではNPBの内野手はMLBでは通用しない、という評価が定まりつつある。

楽天に加入し、初の日本一でもレギュラーだった。

 松井稼は2011年に東北楽天イーグルスに加入し、日本球界に復帰。彼が日本にいるころにはなかったチームだ。このとき、一緒にNPBに復帰した岩村明憲がMLBでの大怪我の後遺症で苦しんだのと対照的に、松井稼は正遊撃手として活躍。最多二塁打をマークした。

 松井稼は2013年の初優勝の年もレギュラーだった。以後、三塁や外野を守りながら若いチームにあってリーダー的存在として重きをなした。
 松井稼の時代ごとの成績は以下のようになる。

MLB移籍前:1159試合 4638打数 1433安打 150本塁打 569打点 306盗塁 打率.309
MLB:630試合 2300打数 615安打 32本塁打 211打点 102盗塁 打率.267
NPB復帰後:724試合 2513打数 651安打 51本塁打 266打点 56盗塁 打率.259

「たらレバ」は、酒の肴。スポーツでは禁物とされるが、もしMLBに行かずに7年間NPBで活躍していれば、その間の安打数は優に1000本を超え、通算安打数も3000本に達したことだろう。張本勲のNPB最多安打3085本を抜く可能性さえあったはずだ。

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