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湘南国際を運営の坂本雄次さんに聞く、
「選ばれる市民マラソン」の作り方。
text by
柳橋閑Kan Yanagibashi
photograph bySHONAN INTERNATIONAL MARATHON
posted2017/12/18 08:00
大会のゴール付近の様子。広々としたエリアが確保されており、参加した選手たちをサポートする施設、スタッフも充実していることが分かる。
他のマラソン大会とは異なる“大規模な草レース”!?
第1回大会のフルマラソンの部の定員は7000人、参加料は8000円だった。そこから段階的に人数、参加料を増やしていき、現在は19000人、12000円という規模になっている。受益者負担をベースに大会を運営するとなると、当然、参加料は高めになる。実際、参加料12000円について「高い」という声があるのも事実だ。
とくに、マラソン大会が供給過剰になったいまは、自分も含めて多くのランナーが“消費者目線”で大会を見比べるようになっている。そうなると、どうしても価格が判断の基準になりやすい。
ただ、参加料の背景にある事情を知ると、価格の意味が違ったものに見えてこないだろうか? 自分たちが楽しむための大会だから、そのための費用は自分たちで持つ。考えてみればあたりまえのことだ。市民ランナーによる、市民ランナーのための、手作りの大会。ある意味、湘南国際は“大規模な草レース”といえるのかもしれない。
湘南国際のホスピタリティは相当良いはず。
「現状、運営にかかる費用をランナーひとり頭で割ると、おおよそ14000~15000円になります。それに対して12000円の参加料をいただき、足りない分は協賛金でまかなう。そういった形で運営しています。
東京、大阪、京都、名古屋……都市型の大規模な大会は、給水・給食、警備、救護の体制、参加賞、すべての品揃えがだいたい同じようなものになっています。
その中で、湘南国際はコストを抑えているにもかかわらず、ランナーが感じるホスピタリティは同じか、むしろ上回っている面さえあるんじゃないかと思います。
たとえば、大会に行って係員に何かをたずねると、『こちらでは分からないので、総合案内に行ってください』と言われることがけっこうありますよね。私はそれではだめだと思っているんです。とくに走り終わったあと、へろへろになっているときに、『あっちに行って聞いてください』と言われたら、いやな気分になってしまう。そういう些細なことで、大会の印象って変わってしまうんです。
だから、その点にはすごく気を使っています。ボランティアの方にも、専門の警備会社の方にも、何度も説明会を開いて、大会の全体像から、会場のレイアウトまで、すべてを把握してもらって、心のこもった対応をしてもらえるように努めています」