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浦和がCWCで得た不完全な達成感。
もし、レアルと戦っていたら……。
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph byGetty Images
posted2017/12/14 17:30
2017年を勝利で終えた浦和。世界での戦いをどのように生かすか、2018年の戦いはすでに始まっているのだ。
アジアを取って、レアルとも戦っていたとすれば。
Jリーグ勢として9年ぶりにアジア王者の座に輝き、クラブワールドカップに出場したこと。これは疑いようなく大きな価値がある。ACLは世界大会の予選だなどと言えるような簡単なものではなく、シーズン全体を通して戦わなければいけないビッグトーナメントであり、それだけで独立させて考えるべきビッグタイトルでもある。
今季の浦和が不安定なシーズンを送りながらも優勝したことは、他のJリーグのチームにも「自分たちもやれるんじゃないか」という思いを与えた面はあるだろうし、よりACLというタイトルへ向ける本気度を上げるだろう。それは、今季の浦和が残した日本サッカーへの大きな貢献でもある。
確かに、浦和にとって不本意な初戦が全ての大会になってしまったのかもしれない。誰もが、準決勝で欧州王者レアル・マドリー(スペイン)と対戦することを期待していたのは事実だろう。だが、西川はこんな風にも話した。
「これは僕たちに対するサッカーの神様からの試練だったと思う。アジアを取って、レアルとも試合をしてという達成感があったら、来季はどうなってしまったんだろうと。僕はそう考えた」
志半ばで大会を去ることになった浦和は来季のACLへの出場権を持っていないため、この舞台に戻れるのは早くても2年後になる。そこでもまた、アジアを勝ち抜くという険しい道のりを歩まなければならない。
10年ぶりのACL制覇となった今年のチームに、当時を知るのは阿部勇樹と平川忠亮だけだった。そうなるのではなく、西川の話したような完全な達成感のない終わり方、この悔しさを知る選手たちが大半である状態で、アジアを勝ってこの大会に戻ってくること。それこそが、浦和にとって最も達成すべき大きなチャレンジであり、達成すべきことであるはずだ。