箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
箱根を走れるかどうかの天王山。
学連の記録会で勝った者、敗れた者。
text by
神津伸子Nobuko Kozu
photograph byNobuko Kozu
posted2017/12/17 09:00
大学としての出場が絶たれた後、選手個人としての箱根出場が懸かる記録会。ここも、もう1つの箱根への道なのだ。
喜びを爆発させる選手の隣に救急車が……。
激しいレース結果の光と影が、直後にグラウンドやその周辺で交錯した。
飄々と着替える近藤や喜びを爆発させる相馬らの真横に、サイレンを鳴らした救急車が到着する。転倒した選手を運び出して行く様は、喜びの表情を見せる選手とは残酷なまでに対照的だった。
不安な面持ちのチームメイトに囲まれた担架は、赤くライトを点滅させたままの車内に吸い込まれた。そこだけ冷たい空気が流れているようだった。
近藤らを追って暗いグラウンドに駆け上がると、泣き崩れて動けなくなっている背番号10番が、仲間に抱きかかえられていた。歩こうとしても、その足は前へは向かなかった。黄色いゼッケンが浮き上がるランニング姿のままでは体が冷え切ってしまうだろうと心配になったが、声はかけられなかった。予選会をギリギリの順位で通過したことを示す背番号は、この日巨大なプレッシャーと化したに違いない。
また、背番号9番も10000m記録会の結果、合計タイムで10番手の亜大・田崎聖良(2年)と、わずか0秒58差という短距離のようなタイム差で11番手に後退し、補欠に回ってしまった。
かくも残酷な10000m。
勝ち抜いた学連チーム10人の、正月の走りから目が離せない。
関東学生連合チームの記録
(予選会と10000m記録挑戦競技会の合計タイム)
1.近藤 秀一(東大3)1時間29分7秒71
2.長谷川 柊(専大2)1時間29分33秒15
3.中島 大就(明大2)1時間29分47秒76
4.金子 鷹(東農大3)1時間30分21秒41
5.相馬 崇史(筑波大1)1時間30分23秒77
6.田部 幹也(桜美林大3)1時間30分32秒26
7.溜池 勇太(日本薬大2)1時間30分41秒75
8.阿部 涼(日大2)1時間30分44秒52
9.根岸 祐太(慶大3)1時間30分49秒74
10.田崎 聖良(亜大2)1時間31分1秒41