ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
日本人ボクサーが海外で勝つ衝撃。
尾川堅一が開いた新しい時代の扉。
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byKyodo News
posted2017/12/14 11:40
ラスベガスという場所はボクシングにとって特別な意味を持っている。尾川堅一に早速次なるオファーが来るのも当然のことと言えるかもしれない。
海外での勝利が“快挙”でなくなる時代が来る?
かつて海外で世界挑戦をする日本人選手は、人気がなく、テレビ中継がつかない、あるいは資金のないジムの選手で「気の毒だな」という見方をされた。
場合によっては「なんで日本でやらせてやらないんだ」とジムの会長が批判を受けることさえあった。そうした古くからの常識は、ここ数年でガラリと変わってきた。尾川の活躍を見て、あらためてそう感じた。
初ラスベガスで勝利した尾川は「本田(明彦)会長には、次もラスベガスがいいです、と伝えました」と満面の笑みで話した。既にオファーはあるというから、今後、アメリカのリングで防衛戦をするという可能性は十分にあるだろう。
日本ボクシング界を引っ張る村田も井上も、海外での試合を強く望んでいる。海の向こうでの世界戦勝利が、もはや“快挙”と報じられない時代が訪れようとしている。