“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
ヴェルディ、鹿島で磨いた気遣い。
初代表・三竿健斗はいないと困る男。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/12/09 07:00
今も優秀な逸材を輩出する東京Vユース。三竿健斗もそこで育ち、今は鹿島イズムに育まれている。
目立たなくていいけど“いないと困る選手”に。
C大阪戦後、三竿はこのように話している。
「僕はそんなに有名でも、目立つ存在でもない。だからこそ、常に周りに気を配って危険なスペースを埋めることを意識し続けないと。そして攻撃の起点としても、もっと相手の嫌がる縦パスを打ち込みたいです。目立たなくていいけど“いないと困る選手”になりたいです」
こう語った彼に、筆者は大勢の報道陣に囲まれている昌子や山口の姿を指差して、「多分そのうち、これくらい囲まれるよ」と話した。三竿は笑内柄「いやいやいや、俺は地味だし、そんなに人が来ないですよ」と謙遜した。
それから3カ月後、第33節の柏レイソル戦でのこと。
試合後のミックスゾーンでは、三竿の周りには昌子と同じくらい多くのメディアが取り囲んでいた。E-1選手権の日本代表メンバーに選出されたという理由はあれど、それは彼がすでに鹿島に不可欠な主軸となっている証拠でもあった。
そこでも三竿は、こう口にしていた。
「自分が求められているプレーをしたい」
周りの環境が変化しても、彼は彼のまま。これから先、さらにステップアップして行っても、それはずっと変わらないだろう。彼の頭の中に“チームファースト”の意識がある限り。