サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
なぜブラジル戦はあの展開だったか。
イレギュラーな瞬間の対応力向上を。
posted2017/11/13 17:00
text by
らいかーるとRijkaard
photograph by
Getty Images
試合のオープニングは、ハリルホジッチらしい現象から始まった。ブラジル陣地からの日本の果敢なプレッシングは、この試合における日本の振る舞いを予想させるものであった。日本のプレッシングに対してショートパスによる前進を試みたブラジルだったが、最終的にはマルセロがロングボールを蹴っ飛ばす形で試合は始まった。
日本の守備の形は、大きく2種類にわけられる。
ゴールキックやスローインなどのプレーの再開時は、ブラジルの陣地深くからでもプレッシングを行う。相手がフリーな状態でボールを持っているときは、プレッシングの開始位置をハーフラインに定め、ブラジルの縦パスに対してボールを奪いにいった。
日本のプレッシングに対して、ブラジルの対応はサイドハーフ(ネイマールとウィリアン)が中心だった。ブラジルのサイドハーフを抑えるために、サイドバック(酒井宏樹、長友)とサイドハーフ(原口と久保)が挟み込むことで、ボールを奪う意思を日本は見せ続けた。プレスバックを考慮すれば、久保と原口の起用は納得できるものだろう。
相手の陣地でボールを奪ってのカウンター、もしくは、相手の長所であるサイドハーフからボールを奪ってのカウンター、という機会を増やすことがハリルホジッチの計算だったのだろう。ただし、その計算が機能した場面は少なかった。
その理由について見ていく。
ネイマールとウィリアンの根本的な能力。
最初の理由は、ネイマールとウィリアンの能力の高さだろう。当初は酒井宏樹の執拗なマークに苦しんでいたネイマールだが、周りの選手のサポートを得ると、かなりの確率で状況を打開できていた。サポートがなくても、最悪でも味方にボールを繋ぐ、またはファウルを受けることで、ボールを失うことはあまりなかった。日本の初失点のきっかけとなったコーナーキックは、マルセロのサポートを利用したネイマールの技術から生まれている。
酒井宏樹の対応に比べると、ウィリアンへの長友の対応は曖昧なものだったかもしれない。ただ、ブラジルの長所である左サイドからの攻撃が多かったこともあって、その甘さが危機的な状況になる場面は少なく、幸運な噛み合わせだったと言える。