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ACL決勝をもぎとった梅崎司の献身。
スーパーサブにベテランがいる強さ。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byAFLO

posted2017/10/19 17:00

ACL決勝をもぎとった梅崎司の献身。スーパーサブにベテランがいる強さ。<Number Web> photograph by AFLO

闘志を前面に出す梅崎司は、浦和サポーターからの信頼も厚い。一発勝負のトーナメントで、雰囲気を変えられる存在は貴重だ。

「短い出場時間だから、一発で絶対に決めたい」

 2006年の大分時代にA代表を経験し、その後フランス・グルノーブルを経て大分へ復帰したが、2008年に浦和へ加入。浦和がアジア王者に輝いた翌年のことだ。常勝集団を形成すべく将来を嘱望された梅崎だったが、度重なる負傷もあり、浦和での10シーズンは順風だったとは言えない。

 そして今、梅崎はアジア王者へと昇り続ける大きな波のなかに立っている。戦力の1人として。負傷でピッチで起きることに関われず、忸怩たる思いをしていた過去を考えれば、これほどの好機はないはずだ。

「攻守のバランスをとるとか、守備をするのは基本中の基本だから、それをないがしろにするつもりはまったくない。だけど、自分としては短い出場時間だから、一発で絶対に決めるという強い気持ちがあります。確かにベテランという年齢だけど、まだまだ攻撃的な部分で自分を伸ばしたいという気持ちを、ここ最近とても強くしている。

 もう1個高いステージへ行くためには、バランスをとるだけだと行けないと思っている。だから、今は自分で自分にプレッシャーをかけています。やれるという自信と、やってくれよという自分への期待があるんですよ」

 若いスーパーサブなら、できることが少ないからこその勢いで得点を決めることもある。かたやベテランが務めるスーパーサブは、思慮深く、視野が広く、老獪だ。様々な場面で絶好なタイミングを駆使する。そして、長年培ったガムシャラさや熱さをうまく消化し表現できる。

「爪痕どころじゃない、どでかいインパクトを残したい」

 厚い選手層の活性化が浦和を変えている。その結果としてのタイトルまであと2戦だ。

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