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鹿島で丸刈り流行、発端は曽ヶ端準。
あらゆるエピソードが男気だらけ。
text by
池田博一Hirokazu Ikeda
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/10/14 07:00
クォン・スンテとの守護神争いは続くが、ピッチでもベンチでも曽ヶ端準の存在が鹿島に与える影響はいつだって大きい。
ミスした試合こそ、取材に真摯に答える。
GKとは難しいポジションである。簡単なプレーも難しいプレーも、すべてが失点につながる可能性がある。さらに、どれだけファインプレーを繰り返しても、90分のうち1つでもミスをして失点すれば、負けに直結してしまう。GKには、常にミスが許されないプレッシャーとの戦いがあるのだ。
それでもやっぱり、ミスというのは起こってしまうもの。曽ヶ端は、自らのミスと真摯に向き合う男である。それは日々取材をしていて感じることだ。基本姿勢として「ミスのあった試合では(コメントを)聞きに来てほしい」と言う。なかなかできることではない。
言い訳一切なし、年下の昌子にも謝罪。
9月23日、J1第27節G大阪戦。開始7分、いきなり先制点を叩き込まれた。相手のゴールキックから右サイドのペナルティエリア付近でボールを収めたFWファン・ウィジョが、昌子を背負いながらも鋭い反転からミドルシュート。曽ヶ端の反応は完全に遅れた。明らかな判断ミスだった。試合後に話を聞いてみた。
「中の状況を見た瞬間に打たれました。苦しくしてしまったのはあの1点。みんなで試合の入り方を話していた中で、ああいうプレーをしてしまったのは良くない。自分のミスです」
言い訳は一切なし。
「試合後に声をかけてもらったけど、僕にも責任があるので申し訳ない」と昌子が教えてくれたように、チームメイトにも謝罪した。それでも前を見据えてしっかりと、そして冷静に失点を振り返る。
「セオリーとして、キーパーが守るべきシュートでした。絶対にやられてはいけない形。タイミングが予想と違っていたけれど、ドライブをかけたシュートを逆サイドに決められたわけではなく、ニアサイド。抑えないといけないコースでした。本当にチームに助けられました」
後半アディショナルタイムに植田の決勝弾が生まれた劇的な試合展開の裏で、興奮とは対極のホッとした表情が、そこにはあった。