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松山英樹に無理やり聞いた“収穫”。
「よかったことにしておきましょう」 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa

posted2017/10/07 08:00

松山英樹に無理やり聞いた“収穫”。「よかったことにしておきましょう」<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

世界選抜の仲間と笑顔を見せる松山英樹。新シーズンは、もうすぐそこに迫っているが、休息と試合のバランスは自分で取るしかないのだ。

歴史的失速まであと少しだったプレーオフ。

 翌週のシーズン(プレーオフ)最終戦・ツアー選手権も、不本意な結果に終わった。松山は今季年間3勝をマークし、レギュラーシーズンをツアーのポイントランキング1位で終えた。全4戦のプレーオフシリーズは順位ごとの分配ポイントが大幅にアップし、“一発逆転”が可能な仕掛けが施してある。

 しかし、最終的に1位になった年間王者に1000万ドルのボーナスが与えられるこのシリーズで、松山はランキング8位に後退してシーズンを終了した。

 あやうく、“歴史的失速”になるところだった。

 2007年に始まったこのシステムで、過去レギュラーシーズンをランクトップで終えた選手が、プレーオフ終了後にもっとも後退したのは2010年のアーニー・エルスと、2011年ニック・ワトニーの9位(タイガー・ウッズが2008年に11位まで順位を下げたが、故障のためプレーオフシリーズは1試合の出場にとどまり、その大会も途中棄権した)。

 ツアー選手権3日目の終わり。松山は「(プレーオフシリーズに)1位で入ってしまったんで……。10位以下になると“初めてのなんとかかんとか”と書いてあった。(そうなったら)ショックなんで、10位(未満を)守れたらいいなと思いますね」と苦笑した。もちろん不本意ではあるが、翌日は胸をなでおろしてシーズンを締めくくれたことだろう。

本人は否定するが、疲労はあったのでは……。

 松山は「全然。大丈夫ですよ」と否定していることを前置きした上で言うが、周囲は疲労が彼の失速に影響していたとみる声が多い。

 最終戦・ツアー選手権翌週の対抗戦プレジデンツカップで、世界選抜のキャプテン、ニック・プライスは大会前に「彼は明らかに疲れている」と話した。

「長い1年を戦った。昨年末に素晴らしいスタートを切り、10カ月、11カ月間にわたって活躍した。フェデックスカップは非常にプレッシャーがかかったと思う。彼が本来求めているゴルフではなかっただろう」

 皮肉にも、松山が約1年使い続けたドライバーのヘッドはこの時期に破損し、そのスペアとのマッチングに苦労した。まるで、使い手と意思疎通がはかられているようでなんだか怖くもある。

【次ページ】 メジャー4戦の後にやってくるタフなプレーオフ。

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