フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
羽生結弦の五輪シーズン開幕。
SPでの世界新記録と悔し涙。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byKiyoshi Sakamoto/AFLO
posted2017/09/26 11:30
オータム・クラシックの表彰式前のリラックスした羽生の姿。照れ隠しの表情の奥に、本気の悔しさも滲む。
「挑戦しないとぼくらしい演技はできない」
「(4回転)サルコウで(SPで)この点数を安定して出せるようになったら、フリーでもっと力を入れられる。そういう気持ちが、ぼくの中でもちょっと芽生えてしまったところがあって、それがまた悔しい。でもこういうふうになってみると、やっぱり挑戦しないとぼくらしい演技は絶対にできないと思いました」
昨シーズンからずっと、SP、フリーともに4ループで演技を開始してきたが、ここでのフリーは前半に3回転ジャンプを3連発という構成。逆に思い切りできなくて、難しかった、という。
気になるのは右膝の状態なのだが、本人はこう語った。
「膝の違和感ということで最終的にこうして構成を落として、ぐちゃぐちゃになってしまったけれど、違和感を感じるような練習をしていたということも、ぼく自身の調整不足であったりトレーニングにおける意識の持って行きかた」
自分の体にも、その出した結果にも、すべて責任を持つという彼の姿勢はこれまでも一貫してきた。
「試合の持っていきかただけじゃなくて、試合までの道のりということでも大きくまた学べた。五輪に向けて体を作りながらいい試合をし続けなきゃいけないというシーズンでもあるので、ものすごくいい初戦だったなと思います」
平昌五輪の本番まで、あと5カ月弱。休めるところでは休んで、まずは膝の回復を優先させて欲しい。いよいよ羽生の二連覇をかけた勝負のシーズンが始まった。