One story of the fieldBACK NUMBER
日本ハムの新スタジアム構想が凄い!
「入場料無し」「弁当無し」の衝撃。
text by
鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph byHokkaido Nippon-Ham Fighters
posted2017/08/16 08:00
メジャーリーグの人気スタジアムなども参考に、世界のどこにも無い、最先端のエンターテインメントとしてのスタジアムを目指す。
「入場料はいらないと思います」
例えば現在、どの球場でもゲートを入る際に入場料が発生する。いわゆる「チケット代」だが、前沢はこの大前提に首をかしげる。
「入場料はいらないと思います。入りたい人はどなたでも入ってもらえばいい。そして、座って野球を観たい人だけ『座席料』を払っていただけばいいのではないでしょうか」
これまで多くの球場を視察してきた前沢は米大リーグ・カージナルスの本拠地ブッシュ・スタジアムを訪れた際、野球を観ていない人の多さに驚いたという。
つまりその人たちにとっては野球を見るのではなく、スタジアムに来ることが目的なのだという。
「アメリカでは野球が文化なのではなく、スタジアムが文化なのだと感じました。もちろん野球に敬意を払うという前提で、野球そのものを楽しみに来る人を増やしたい」
公開されたイメージ図を見ると、スタジアムとその外にあるショッピングモールや広場、レストランには境がないように見える。つまり、収容3万というのは座席の数であって、実際にはその数倍の人がスタジアムに入れるわけだ。
「ディズニーランドにお弁当は売ってませんよね」
また、人を惹きつけるものとして「美味しい食事」も重要だという。
そこでも既存の価値観に疑問を投げかける。
「例えば、お弁当というのは保存するためのものですよね。その場でつくって、その場で料理を提供できるのであれば、お弁当にする必要はないのではないか、と。ディズニーランドにお弁当は売ってませんよね」
入場料も、お弁当も存在しない。つまり誰でも無料で入ることができて、つくりたての美味しい料理が食べられるスタジアム――。
これは構想のほんの一部に過ぎないが、こういうところからファイターズがつくろうとしている新球場のテーマが垣間見えてくる。