松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
マキロイ「今週はヒデキこそがカギ」
優勝の疲労は全米プロにどう影響?
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2017/08/09 17:00
谷原秀人と一緒の練習ラウンド中に、ティショットのセットアップを確認しなおす松山英樹。このストイックさが彼を支えているのだ。
実は米ツアーで優勝の翌週に試合に出るのは初めて。
ところで、これまで松山は米ツアーで優勝を挙げた翌週に続けざまに試合に出たことが実は一度もない。
メモリアル・トーナメントで初優勝を挙げたときも、フェニックス・オープン2連覇後もHSBCチャンピオンズ優勝後も、すべて翌週はオフウィークだった。
だが、今回はそれを初めて経験しようとしている。
「そうですね。優勝した次の週に(試合に)出るのは珍しいので」
何ごとも「直後」は「ホット」ゆえ、松山の勝ちっぷりの印象も期待も注目も今はとても熱い状態だ。その熱さを感じつつ、自分自身のメンタル面を今回はどうコントロールすればいいのか。
疲労を感じているのだとすれば、どう回復させていけばいいのか。練習、トレーニング、フィットネス、休息、そのバランスをどう取っていけばいいのか。
さらには、周囲の期待をどう受け止めながら戦っていけばいいのか。
そのあたりが、彼が今すでに直面している新たな課題になりそうである。
マキロイ「今週はヒデキこそが、カギになる」
しかし、前週もメンタルコントロールを意識的に行なうという新しい試みをして快勝した松山である。開幕前の今はまだ最善の道を模索している段階ゆえに表情が険しくなるのだろうが、粘り強い彼ならきっと道を切り開いていくだろう。
難コースにも笑みを浮かべながら「チャンスはたくさんある」と豪語するマキロイが一番警戒しているのは、コースよりむしろ松山のようだ。
「先週の日曜日、あれは強く印象に残る61だった。素晴らしいゴルフだった。ヒデキはこの12カ月、いや18カ月、とてもいいプレーをしているし、飛距離も出ている。自信を高めてここへやってきている。今週はヒデキこそが、カギになる」
マキロイが「カギ」と見ているのは松山。松山が「カギ」と見ているのは精度の高いショット。
その2つの「カギ」が一体化したとき、松山のメジャー初優勝がきっと達成される――。