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直前の優勝にも松山英樹は騒がない。
変化よりも、地力こそがモノを言う。

posted2017/08/10 07:30

 
直前の優勝にも松山英樹は騒がない。変化よりも、地力こそがモノを言う。<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

今シーズン最後のメジャー、全米プロ。松山英樹はもちろん優勝候補だが、それ以上に重要なのは積み重ねた彼の成長そのものだ。

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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Yoichi Katsuragawa

 その夜、松山英樹は驚異的な逆転劇を演じた会場を離れ、すぐに次の目的地に飛んだ。

 2016-17年の3勝目を飾ったWGCブリヂストンインビテーショナル。首位に2打差で迎えた最終日は1イーグル、7バーディを決めて後続に5打差をつけ、鮮やかに米ツアー通算5勝目をさらった。

 61は2013年に当地で一緒に回ったタイガー・ウッズが叩き出したコースレコード。その数字に、4年の歳月を経て並ぶという極上のストーリーで4日間を締めくくった。

 厚い雲の下で行われた表彰式と長いインタビューを終えた松山は、急ぎ足でこのオハイオ州アクロンを離れ、ノースカロライナ州のシャーロットに向かった。

 今週、全米プロゴルフ選手権が開催される場所である。

 松山とチームスタッフの行動の輪にはこの日、米ツアーにスポット参戦中の谷原秀人が加わった。優勝を決めてスコア提出所への道を堂々と闊歩していた松山が、すでにラウンドを終えていた先輩の姿を見つけ、両手を突き上げておどけて見せたのは、数時間前のこと。

 しかし、フライトを経て遅めの夕食が始まると、さっきまでの祝福ムードはいったいどこへやら。「祝杯? 全然なかったよ。いつもと一緒。“英樹、おめでとう!”って感じでもなく、“おつかれさまでしたー”だって。フツーに飯食っただけ」と谷原。2連戦の狭間とはいえ、なんだか拍子抜けしたような気がするのも無理はなかった。

松山にとって何度も経験したコースでのメジャー大会。

 待望の瞬間の期待をさらに膨らませて迎える今季のメジャー最終戦。いつものメジャーと趣が少し違うのは、25歳の松山がすでに何度も今大会の会場でプレーしていることだ。

 マスターズ以外の3つのメジャーは、毎年異なるコース、もしくは数年おきのローテーションで行われるが、今年のクエイルホロークラブは例年、米ツアーのウェルズファーゴ選手権が開催されている。松山は2014年から3年連続で出場。別のコースを使用した今年は欠場した。

 ただし、同クラブは初のメジャー開催に備えて、昨年大幅なコース改造を施した。特に5番までのアウト序盤ホールの変化が顕著で、パー4の1番は100ヤード以上距離が延びた。これまで培ってきた経験が活きそうもないほど、まったく違うスタートになりそうだ。

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