松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER

「怒らないで、やってみようかな」
穏やかな松山英樹は本当に強かった。 

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舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph bySonoko Funakoshi

posted2017/08/08 11:45

「怒らないで、やってみようかな」穏やかな松山英樹は本当に強かった。<Number Web> photograph by Sonoko Funakoshi

全米プロの前哨戦で驚異的なスコアで優勝したことで、松山英樹は全米での優勝予想でもかなり上位にランクインしている。

3番から15番までリーダーボードを見なかった理由は?

 2日目を終えたときも「この2日間のように、あんまり期待せずに残る2日間をやれたらいい」。気負いも見せることはなかった。

 首位に2打差で迎える最終日を前にしたときは、「明日は勝手に勝ちたい意識が入ってくる。それをどこまで抑えられるか」と自身に言い聞かせるように静かに語った。

 そして迎えた最終日。「スタート前のウォーミングアップは最悪だった」が、2番で「セカンドがいいショットが打てた」ことで、すぐさま気持ちを前に向け、2番のイーグルで首位に並ぶと、「3番から15番までリーダーボードを一度も見なかった。たまには見ないでやってみようかなって」。

 これが今の自分。これが今の状況。怒らず、焦らず、落ち込まず、粛々と目の前の一打に全力を尽くす。

 そうやって手に入れたこの優勝は、松山の新しい勝ち方となった。

全英で日本人記者を驚かせた松山のソフトな対応。

 よくよく振り返ってみると、松山の「今」を受け入れる姿勢は、全英オープンのときから、すでにその兆しはあったように思う。その前週にテニスのウィンブルドン観戦にスーツ姿で出かけたことを尋ねられると、「場違いですよね」と真顔で言って、日本メディアを笑わせ、その場の空気を彼が和ませた。

 毎日のラウンド後の囲み取材でも、言葉を選びながら、よく答えていた。年に一度、全英オープンのときだけしか松山に接することがない欧州駐在の日本人記者たちは「この4、5年で、こんなに対応がソフトな松山を初めて見た」と、みな一様に驚いていた。

 その変化が全英オープンの2週前に初めて出場した欧州ツアーのアイリッシュオープンでの経験に起因していたことを、松山は今回の優勝会見で初めて明かした。

 米ツアーでは毎試合、毎日、日本メディアから必ず取材されているが、欧州ツアーの試合会場には日本メディアがおらず、取材されないことは「楽だけど、淋しかった。だから、今は楽しい」。

【次ページ】 デビュー以来メディア対応は得意ではなかったが……。

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