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岩瀬仁紀が歩んだ苦難の950登板。
見栄とも娯楽とも無縁の野球人生。
text by
伊藤哲也Tetsuya Ito
photograph byKyodo News
posted2017/08/07 12:05
プロ野球最多記録の通算950試合登板を達成した、日本球界が誇る“鉄人”岩瀬。原因不明の肘痛・しびれを乗り越えての偉業達成だった。
山本昌に続く年長受賞となった、12年ぶり月間MVP賞。
球界最年長の決断は吉と出た。
開幕から順調に滑り出し、6月は14試合に救援登板して1勝1セーブ、失点・自責点とも0で防御率0.00。10ホールドを記録するなどフル回転し、6月23日の巨人戦では3年ぶりのセーブも挙げた。そして抑えを務めていた'05年4月以来の月間MVPを受賞した。
セ・パ通じて最長ブランク。
42歳7カ月での受賞は、元中日山本昌の43歳0カ月に続く年長受賞になった。
「手応えをつかんでいたのが、結果となって表れたのだと思う。(最長ブランクの)12年前がどんな感じだったか覚えていない(笑)。この年齢でも取れるっていうのは、若い人たちに『やれるんだ』と示すことができた」
「もちろん、今もシーズンはしんどいの連続」
史上最多404セーブを挙げている伝説的ストッパー。
この2年は肘の不調に悩まされた。原因を突き詰め、病院に幾度も足を運んでも解明されない……。
実は過去にも同じようなことがあった。
'09年シーズン終盤には右腕のしびれを発症。1カ月の登板回避を余儀なくされ、このときも原因は最後までわからなかった。
「今も肘の不安が解消されたわけではない。ただ、丈夫な体に生んでくれた親にはものすごく感謝している。もちろん、今もシーズンはしんどいの連続。けど、先のことはあまり考えずやっていくしかないからね」
岩瀬が救援投手の条件としてあげる4項目がある。
(1)三振を奪えること
(2)四球を出さないこと
(3)盗塁されないこと
(4)フィールディングがうまいこと
ユニホームに袖を通し、打者と対戦する以上は、新人だろうがベテランだろうが関係ない。
鉄腕左腕は、今も向上心を見失うことなくこの4項目に磨きをかけ、ひたすら汗を流す。