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エンダムとの再戦は村田有利だが。
会見の言葉でリマッチの展開を占う。
posted2017/08/08 08:00
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
Hiroaki Yamaguchi
村田諒太(帝拳)にリベンジのチャンスが巡ってきた。帝拳ジムは3日、都内で記者会見を開き、WBA世界ミドル級1位の村田が、王者アッサン・エンダム(フランス)と再戦すると発表した。
物議を醸した判定決着から5カ月。リマッチの舞台は10月22日、両国国技館にセットされた。
WBAから再戦指令が出ていたとはいえ、思いのほか早く、再戦の交渉はまとまったという印象だ。村田自身も2カ月半で再戦が決まった心境を次のように語った。
「試合が終わってからすごく早かった。この時の流れの速さで試合まで進んでしまうと進化することができないので、時間を有効に使いながら、自分自身が強くなれるように毎日過ごさなくちゃいけない」
5月20日の試合は2-1でエンダムに軍配が上がったが、WBAのヒルベルト・メンドサ会長がすぐさま判定の誤りを認め、エンダムに勝利をつけたジャッジ2人にサスペンド処分を科すなど、事態は異例の展開を描いた。帝拳ジムの本田明彦会長もWBAへの不信感を隠さなかった。
プロとアマの違いは「ファンが望むかどうか」。
こうした中、他団体の王者に挑戦する話も持ち上がったが、それぞれのスケジュールを考えると、すぐに他団体で挑戦というプランは現実的ではなかった。結果、残された選択肢がエンダムとの再戦だった。
村田は「チャンスがあればどこでも良かった」とリマッチにこだわりを見せていなかったが、再戦そのものには十分に納得している。
「プロとアマの違いをよく聞かれますけど、それはファンの方々が望むかどうか。ファンの方々が注目していただけるのであれば、これがベストの形だと思う」
古い表現を使えば「判定を盗まれた」という形で初の世界タイトルマッチに敗れた村田にとって、エンダムとの再戦は「完全決着」という明確なテーマがあり、ファンにとっても最もわかりやすい。WBAでの世界挑戦は、判定への不信感というしこりが残っているにせよ、それこそ「ベスト」だと言えるのではないだろうか。