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金哲彦が世界陸上の見所を一挙紹介。
異例のマラソン男女同日開催の訳は?
text by
金哲彦Tetsuhiko Kin
photograph byAFLO
posted2017/08/03 07:00
男子マラソンの川内優輝はロンドンの世界陸上が現役最後のレースになる。個性的な走りを記憶に焼き付けたい。
世界の戦いを肌で知る機会を失ったのは大きな損失。
前回2015年の北京大会では、村山謙太、村山紘太(旭化成)、大迫傑(ナイキオレゴンプロジェクト)設楽悠太(Honda)、鎧坂哲哉(旭化成)の5名が参戦した。
誰も参加標準記録に達しなかった結果なので仕方ないが、ペースチェンジが激しい世界のレース展開や初心者を飲み込んでしまう大会の雰囲気をリアルタイムの肌感覚で知るのは大切なことである。
それが実体験できる世界大会は、4年に1度のオリンピックと2年に1度の世界陸上しかない。
チャンスを一度でも逃すと、国内の駅伝などがモチベーションの中心になりがちだ。「井の中の蛙」になってしまうことだけは避けたいが、3年後の東京五輪に向けて心配な状況ではある。
なんとマラソンが同日開催に。
ところで、ロンドン大会では、マラソンが男女同日レースとなった。
これまでの世界陸上のマラソンは、男女で約1週間の開きがあった。
夏のフルマラソンゆえ、涼しい早朝スタートという選手の健康面への配慮と、テレビ視聴率への影響を考慮してのタイムテーブルだと思う。
ロンドン大会のマラソンは、男女とも大会3日目の8月6日。スタート時間は、男子が、午前10時55分、女子が、午後2時ちょうどだ。
8月の日本でもしこの時間にマラソンを実施したら、地獄のような暑さだろう。
しかし、夏でもエアコンが必要ないといわれるロンドンは違う。天気予報によると、8月6日の気温は13~21度。まるで早春のレースだ。
男子は、トラックの王者からマラソンに参戦中のケネニサ・ベケレ(エチオピア)。
そして、女子はリオ五輪銀メダリストのユニス・ジェプキルイ・キルワ(バーレーン)を中心に、かなりの高速レースになるだろう。