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4部から2年連続昇格でセリエB復帰!
パルマは破産からどう立ち直ったか。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byKyodo News
posted2017/07/14 08:00
日本では中田英寿が所属したクラブ、として知られるパルマ。当時はセリエ有数の強豪だったのだ。
理想主義の仮面を脱ぎ捨て、勝利至上主義に。
旧パルマがマネー・スキャンダルによって破産した経緯から、新生パルマは経営方法もプレースタイルもクリーンな姿勢を前面に押し出していた。
ゆえに、理想主義から勝利至上主義への方向転換ともとれる現場トップの刷新は、内外に衝撃を与えた。クラブの変貌を『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙は「おとぎ話の終焉」と皮肉った。
つらい決断だった、と役員の1人だったフェラーリ副会長は振り返る。
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「チームの趨勢を見守り、シーズンの終わりまで口をつぐんでいた方が社会的にはエレガントだっただろう。しかし、我々には年間シートを買ってくれる多くの地元ファンがおり、彼らのために我々は上を目指す義務がある。あのまま見過ごすことはできなかった」
新経営陣がとったリスクは大きかった。再出発2年目にして、一歩間違えればパルマはチームもクラブも空中分解する危機にあったのだ。
クレスポが招聘され、チームには貪欲さが。
2年前までユース部門の監督を務めていた大物OBクレスポが新TDに招聘され、チームは若手ながら叩き上げの指揮官ダヴェルサに託された。パルマには貪欲さが注入された。
ヴェネツィア相手に優勝は逃したが、パルマはグループ2位をしぶとく確保した。プレーオフを勝ち上がり、アレッサンドリアとの決勝戦を2-0で制して2部昇格を決めたのだった。
パルマは再び檜舞台であるセリエAへの足がかりをつかんだ。そして、音楽と美食の都にもチャイナ・マネーの波が押し寄せようとしている。
中国のスポーツマーケティング企業「Desport」社がクラブ株式の過半数を取得しようとしていることは、シーズン終盤から公然の秘密となっていた。すでにグラナダ(スペイン1部)を所有する同社とパルマ側との交渉は円滑に進み、あとは中国中央政府の外国投資認可を待つのみ。現地報道によれば、パルマ買収は7月中にも成立する見込みだ。
ミラノの2強に続いて、パルマも中国資本の下で強豪再建への道を登り始める。